東京電力は8月6日、2011年3月の福島第1原発事故で、3号機の冷却システムによる注水が早い段階で停止したため、燃料溶融がこれまでの推測よりも5時間ほど早くに始まり、ほぼ全量が原子炉から格納容器に溶け落ちたとする解析結果を発表しました。廃炉作業の困難さが浮き彫りになりました。
東電解析廃炉作業の困難さ示す
今回、東電は「高圧注水系」と呼ばれる冷却システムによる注水が2011年3月13日午前2時42分の手動停止よりも早い12日午後8時から止まっていた可能性があるとして再解析を実施。当初の解析より5時間強早い13日午前5時30分ごろに燃料が溶融し始め、溶融した燃料が全量、原子炉から溶け落ちて格納容器に落下したという結果を得ました。
落下した燃料による格納容器底部のコンクリートの推定侵食量は68センチメートル。ただ東電は、温度の推移などから原子炉内に一部の燃料が残っているとみています。
一方、今回の解析による3号機での水素の推定発生量は、当初の800キログラムから600キログラムに減りました。
また東電は、2号機で3月14〜15日にかけて原子炉圧力などの上昇が3回発生した要因として、消防車による注水で蒸気が発生して水─ジルコニウム反応を促進して圧力上昇と燃料溶融を引き起こしたという推定結果を明らかにしました。
消防車注水が事故拡大を引き起こすという事態は、原発事故の対応の困難さを示しており、再稼働を計画している各原発の対応のあり方が問われます。
今回の発表は、事故の未解明問題を調査・検討した結果をまとめた2回目の報告。1回目は昨年(2013年)12月。
(「しんぶん赤旗」2014年8月7日より転載)