東京電力は7月28日、福島第1原発で放射能汚染水の増加を抑えるため、建屋に流入して汚染される前の地下水をくみ上げて海へ放出する「地下水バイパス」について、明確な効果が出ていないことを認めました。小林照明原子力・立地本部長代理が同日の記者会見で、「今は建屋への効果は明確に見えていない」と述べました。
東電によると、地下水は原子炉建屋などに1日平均400トン流入し、汚染水増加の主因となっています。東電はバイパスによって流入量を最大で同100トン減らせると説明し、5月に開始しました。
2ヵ月が経過しても、汚染水の増加量が抑制される傾向は見えませんが、小林氏は建屋と地下水をくみ上げる井戸の中間地点で、地下水位が最大で10センチ低下していると説明。今後の流入量減少に期待を示しました。ただ、流入量が同100トン減るためには、中間地点の水位が数十センチから1メートル低下する必要があるといいます。
小林氏は流入量が減る時期について明確にせず、「もう少し時間をいただいて(効果が)明確になった段階で紹介させていただければ」と述べました。
地下水バイパスでは、5月21日から7月20日までに計1万5828トンの地下水を海に放出しました。
(「しんぶん赤旗」2014年7月30日より転載)