日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > “福島に生きる”未来は変えられます・・沖縄に避難した 久保田美奈穂さん(35)

“福島に生きる”未来は変えられます・・沖縄に避難した 久保田美奈穂さん(35)

高島地蔵前で訴える久保田さん
高島地蔵前で訴える久保田さん

 福島原発事故で国と東京電力に原状回復と損害賠償を求めた「生業(なりわい)訴訟」の口頭弁論で水戸市から沖縄県に避難した久保田美奈穂さん(35)は「放射性物質は県境で止まりはしないのです。県境を越えて被害は出ています」と陳述しました。

 最近、茨城県のひたち海浜公園で毎時0・7マイクロシーベルトの高線量のホットスポットが見つかり、立ち入り禁止の措置がとられました。この事実は、久保田さんの証言を裏付けています。

 久保田さんが沖縄県に避難したのは「県内に原発がない」ことでした。

 「3・11」直後は「息子たちをできる限り被はくさせないために必死の毎日でした」と久保田さん。栃木県に一時避難しました。「世界の終わりではないかと恐怖を覚えました。何をどうしていたのかさえも思い出せないほど混乱しました」

■息子の健診結果

 2012年10月の子どもたちの健康診断結果は、長男の甲状腺ホルモンの数値と、次男の肝機能の数値が高く、「要観察」

の診断結果が出ました。

 「子どもたちにとって何がベストなのか。毎日悩み、必死に生きた3年だった」と話す久保田さん。福島県とのかかわりは、夫との出会いのときからです。2人のデートスポットは福島県の名所などでした。

 しかし、原発事故は、夫の尿からも放射性セシウムが検出されるなど「被ばくしたことは紛れもない事実」となりました。

 夫婦の関係にも亀裂をもたらしました。子どもの命と健康を第一に考える久保田さんと、仕事の関係でどうしても水戸市の仕事場を去ることのできない夫との間にギクシャクしたすれ違いが生じました。「何度か離婚の危機もありました」といいます。

 沖縄と水戸との二重生活は、年に3回、1回2日間だけ会う暮らしとなりました。「子どもの成長を一緒に喜んだり悩んだりできません。結婚の意味を考えさせられます」

■生業訴訟は希望

 久保田さんは、「生業訴訟は希望の裁判だ」と話します。裁判を通して国と東電の責任を追及し、一つは、子どもの健康診断や医療費の無料化などの制度化を図ること、二つ目に、避難生活を送る被災者を国が支援し、平穏で自由に暮らせる制度を確立することを願っています。

 「被災地にとどまっている人も、避難した人も、福島県民も、他県の人たちも区別なく被害者救済がなされることを望んでいます」

 だれ一人責任を取らず、原発事故の収束もしていないのに再稼働して国のエネルギー政策を推進しようとかじを取る安倍首相。「原発は人間の手に負えないものであることは知ったはずです。同じ過ちを繰り返さないでほしい。子どもたちにきれいで安心して暮らせる環境をバトンタッチしたい」

 命を産み育てる母の熱い思いは消せません。「過去は変えられませんが、未来は変えられます。原発ゼロまで福島とともにたたかいます」

(菅野尚夫)

(「しんぶん赤旗」2014年7月28日より転載)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です