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被災地に戻れる環境を、自治体学校が講座・分科会

報告をきく参加者=7月27日、仙台市
報告をきく参加者=7月27日、仙台市

 第56回自治体学校2日目となる7月27日、2講座と12分科会が仙台市などで開かれ、自治体職員や地方議員、住民の千人が参加しまし

た。講座「維持可能な福祉自治体をめざすための自治体財政分析」(平岡和久立命館大教授)、分科会「災害弱者と地方自治」(藤井克徳日本障害者協議会代表)など多彩な問題を学び合いました。

 「東日本大震災・原発事故と人権としての社会保障」の分科会では、井上英夫金沢大名誉教授が助言者となり「国には人権を保障する義務がある。今回の震災をきっかけに人権保障にふさわしい社会保障とは何かを改めて考えたい」と問題提起しました。

 宮城県民医連の熊谷義純事務局次長は、被災者の医療・介護の減免措置の経過について、国が非常時の「特例措置」という姿勢を貫いていることを批判。縮小・打ち切りとしたい国や自治体に対して当事者の声をていねいに届ける運動を進め、不十分だが免除再開させた意義を運動側がしっかりとらえる必要があると述べました。

 東日本大震災津波救援・復興岩手県民会議の鈴木露通事務局長は、被災地の復興が進まないなかで人口減少が進み、大槌町で3457人滅(22・7%)、陸前高田市で3840人滅(16・5%)などとなっている実態を示しました。住み続けたいとの思いがあっても、災害公営住宅の建設の遅れや低い収入の割に高い家賃水準の問題を指摘し「住民がふるさとに戻ってこられる環境づくりが必要だ」と話しました。

 大阪市の違法な生活保護窓口対応の調査団に参加した渡辺潤・全国公的扶助研究会副会長は、生活保護利用者を全国で唯一減らした大阪市で行われていたのが、稼働年齢層の徹底的な排除や、人権侵害に等しい扶養照会だと報告しました。政府も違法だと認めている申請権の侵害を許さない取り組みが必要だと強調しました。

 自治体学校は28日の全休会で柴崎直明福島大教授の特別講演「福島第一原発の汚染水問題の現状」をおこない、閉校します。

 

復興への取り組み説明・・自治体職員・被災者ら

 「わたしたちの震災復興」と題した分科会では、震災当時、仙台市消防局長を務めていた高橋文雄さんのほか、ガレキをリサイクル率72%で処理した仙台市環境局の遠藤守也さん、津波で施設を破壊されながらも人口の7割の下水を受け入れ続けた南蒲生浄化センター所長の石川敬治さんが、復興への取り組みを説明しました。石川所長は「施設は完全に復旧していないので、市民の理解と協力が必要です」と訴えました。

 また、内陸部の宅地被害について、「仙台市太白区緑ケ丘4丁目被災者会」の宮野賢一さんが、支援制度を創設するまでの被災住民の取り組みについて報告。「土地を復旧しても、被災者生活再建支援金が最大300万円だけでは再建できない人もいる」と指摘しました。

 石巻市の元保健師の伊藤慶子さんが、津波被災地保健師100人のアンケート結果から、住民や地域の保健施設に精通している保健師を災害対策本部に参加させることなど、10の提言をまとめたことを報告しました。

(「しんぶん赤旗」2014年7月28日より転載)

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