福島第1原発から70キロメートルの森林地域に生息する野生のサルは、青森県下北半島のサルと比べて白血球や赤血球などが少ない・・。日本獣医生命科学大学の羽山伸一教授(野生動物管理学)らの研究チームが、科学誌『サイ工ンティフィック・リポーツ』7月24日付に調査結果を発表しました。
研究チームは、福島第1原発から70キロメートルの森林地域と、約400キロメートル離れている下北半島に生息しているニホンザルを、血液学的な違いに着目して調査しました。
その結果、福島のサルは下北のサルと比べて、白血球や赤血球の数、ヘモグロビン値、ヘマトクリット値が、少ないことがわかりました。一方、福島のサルの筋肉からは放射性セシウムが1キログラム当たり78〜1778ベクレル検出され、下北のサルは検出限界値未満でした。
福島の場合、未熟なサルでは放射性セシウム濃度が高いほど白血球が少ない傾向がありましたが、そうした関係は成熟したサルにはみられませんでした。
これは、未熟なサルの方が放射性物質の影響を受けやすい可能性を示唆しています。
ただ研究チームは、放射性物質の影響である可能性について、現段階では断定するには至っておらず、より詳細な調査が必要だとしています。
羽山さんは、福島のサルの白血球などが少ないことについて「日常生活に支障がでるような変化ではないと思うが、何らかの感染症が発生した場合には影響が出るかもしれない」と話しています。
環境相が詳細調査受け入れ要請・・放射性物質の処分場建設
福島第1原発事故で発生した放射性物質を含む「指定廃棄物」の宮城県内の最終処分場建設をめぐり、石原伸晃環境相は7月25日、仙台市内で村井嘉浩知事や県内の市町村長らと会談しました。同相は、建設地を絞り込むための地質や地盤などの詳細調査の受け入れに理解を求めました。処分場建設をめぐり同相が同県を訪れ、自治体と協議するのは初めて。
同相は会談で「詳細調査で追加的なデータを入手し、安全性を厳格に評価したい」と述べ、村井知事に地元自治体の意見を取りまとめるよう要請。村井知事は会談後、建設候補地となっている栗原市、加美町、大和町の首長と個別に協議し、1週間後をめどに県内の市町村長が参加する会議を開き、調査受け入れの可否を判断する方針を示しました。
これまでの環境省と地元自治体との協議では、栗原市と大和町が調査実施を容認した一方、加美町は調査に反対する姿勢を崩していません。
(「しんぶん赤旗」2014年7月26日より転載)