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“私たちが勝ちとった”再稼働認めない・・たたかいの現場歩く/川内、福井、官邸前

 福島原発事故から4度目の夏、稼働原発ゼロのまま迎えます。その一方で、原子力規制委員会は川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働に向けた事実上の「合格証明書」となる審査書案を了承(16日)。稼働をめぐるせめぎあいのなか、「稼働原発ゼロの夏」にのぞむたたかいの現場を歩きました。(竹原東吾)

川内原発では

 

川内原発を望む山下勝次さん=7月9日、鹿児島県薩摩川内市
川内原発を望む山下勝次さん=7月9日、鹿児島県薩摩川内市

 「事故を『想定外』と言わなければならないほど原発の技術は低レベルだった。もう原発は廃炉しかない」

 そう語るのは、山下勝次さん(72)=薩摩川内市=です。元プラントメーカーの技術者で、建設中の川内原発1、2号機の復水器のすえ付けに現場所長として関わりました。復水器は動力に用いた水蒸気を冷却する装置。

 当時「電力は日本の発展に必要」「原発は絶対安全」と思い込んでいました。「福島の事故でガーンと目が開いた。いつのまにか54基もの原発ができていた。技術は日進月歩で『完全』という言葉はない。絶対安全はありえない」と語ります。

 いま市民団体「さよなら原発いのちの会」の活動に参加し、地元の反原発運動の一翼を担います。

 「いのちの会」が原発15キロ圏を中心に2万枚配布した再稼働に関するアンケート。回答数は1111(10日時点)に達しています。

 「反対」と答えた人は85%に上ります。日本共産党の井上勝博市議は「これをパブリックコメント(パブコメ=意見公募)だと考えればすごい数です」。

 薩摩川内市がこれまで実施したパブコメに寄せられた意見数は08年度以降、ほぼ「10件以内」(市広報室)です。過去最高数となった離島の医療体制をめぐるパブコメでさえ644件(06年度)で、1000を超えるものはありません。

 「福島原発事故から3年がたっても避難生活のままで、汚染水問題も解決しない。市民が事故をわがことのように考え始めています。稼働反対はこれからも増えていくでしょう」(井上市議)

 環境経済論に詳しい鹿児島国際大学の八木正准教授は「原発はバックエンド(後処理)や事故賠償、除染、安全対策を含めるとべらぼうにコストが高い。ドイツや米国をみても再生可能エネルギーが世界的に増えていくことは動かない事実です。原発にしがみつけば世界の潮流に乗り遅れます。再稼働でえられるものは何もない」。

避難できない

 高齢者など災害弱者とされる「要援護者」の避難計画の策定について、鹿児島県の伊藤祐一郎知事は″10キロ圏内で十分。30キロは現実的ではなく不可能″との見解を示しています。

 「反原発・かごしまネット」の杉原洋事務局長(鹿児島大学非常勤講師)は「ひどい話です。国民は万が一のときに取り残され、切り捨てられます。それを食い止めるためには、再稼働を止めるしかない」と強調します。

 薩摩川内市と隣り合う、いちき串木野市は原発から30キロ圏内。避難計画がつくられていないなか、5月に始めた稼働に反対する緊急署名は住民の半数を超える1万5464人から集まりました。

 「避難計画を考える緊急署名の会」の江藤卓朗事務局長は「署名は市民の意思表示。民主主義を取り戻す運動になっている。数をバックに自信を持って原発を止める取り組みを進めたい」と話します。

 先の杉原氏は「審査書案がでましたが、避難計画は審査の対象外で、そもそも欠陥審査です。地震や活断層、火山の評価も甘く、ずさんです。審査書案がでたからといって、国民も現地も再稼働を認めたわけではありません。運動を盛り上げていけば、止められます」。

 

励ます大飯判決

14-07-20kati 一昨年(2012年)、大飯原発(おおい町)の再稼働をめぐる攻防の焦点となった福井県。「電気は足りてる、足りないのは愛」。県庁周辺でユニークなコールがあがります。再稼働に反対する定例の抗議行動も100回を超えました。

 参加者の一人、石森修一郎さん(67)は定例行動とは別に、平日は毎日、独自に県庁前で宣伝行動を継続しています。「会社を経営し、地元経済界にも顔を出していた。原発を黙認してきた罪滅ぼし

だ」と語ります。

 いちき串木野市の緊急署名活動にも支援に駆けつけました。金曜夜に福井をたち、車で28時間かけて鹿児島入り。車中で仮眠をとり、日曜午前だけ6人の署名を集め、そのままとんぼ返り・・。「これから始まる原子力ムラと住民との大レースだ。楽しいね。脱原発まで見届ける、それが生きがいです」(石森さん)

福島を忘れない

 憲法は再稼働を認めていない・・。福井地裁で、原発推進を厳しく戒める判決が出たのは5月21日のこと。「憲法の人格権が極めて広範に奪われる事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故」「具体的危険性が万が一でもあれば、その差し止めが認められるのは当然」だと明快にのべて、大飯原発の運転を差し止めたのです。

 弁護団副団長の島田広弁護士は「国民の『再稼働をとめたい』という思いが、そのまま司法で認められたものです。判決が運動を励ます意義は巨大です。運動が裁判所の態度を変え、裁判所の判決が国民への励ましになる。今後の国民と司法との関係にも大きな影響を与えます」。

 原告の一人、小野寺恭子さん(58)は川内原発再稼働に反対する運動にも心を向けます。「遠くて駆けていくことはなかなかできませんが、判決は薩摩川内市でも読まれ、利用されています。判決が独り歩きしていることをすごく喜んでいます」

 県庁周辺の抗議行動の中心メンバー、若泉政人さん(47)も「全国で頑張っている人がいることを支えに、『原発ゼロ』に向けてともにたたかっていこう。私たちは福島を忘れない」と。

官邸前行動で

 蒸すような暑さと雨に見舞われた11日夕、東京・官邸前抗議行動。2年以上、100回を超える行動はこの日も、ほら貝やドラムのリズムにあわせ「川内原発再稼働反対!」のコールをとどろかせました。

 国会前でスピーチした首都圏反原発連合のミサオ・レッドウルフさんは「再稼働させず、夏、『原発ゼロ』で乗り切ったという一つの前例ができる。これは私たちが勝ち取ったことだ」と声を上げました。

 いわさきちひろの絵が描かれた「NO NUKES」ステッカーを胸元に掲げ、スピーチエリアから離れた場所で静かに立っていた山本みかさん(52)=横浜市=は、「他に原発をなくす方法がわからないし、この場があることがありかたい。私にできることは意思表示です。頭数の一人になりたい」。

(「しんぶん赤旗」2014年7月20日より転載)

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