東京電力福島第1原発で7月8日、「凍土遮水壁」の工事現場が報道陣に公開されました。来春の凍結開始をめどしますが工事は険しい道のりが予想されます。
(細川豊史)
計画は、高濃度放射能汚染水の増加を抑えるために1〜4号機を囲む全長約1・5キロに1メートル間隔で深さ約30メートルの穴を掘って凍結管を入れ、土を凍らせて壁をつくり、地下水流入を防ぐというもの。
4号機南側では、掘削機で管をねじり込みながら土を掘る作業が行われていました。作業員は手袋を3重、靴下を2重につけ、放射線を遮へいする重さ6〜7キロのベストを装備。防護服や全面マスクで口も耳も覆われ、互いの声はくぐもります。6月には意思疎通不足で作業員のケガが起きました。
熱中症対策のため保冷剤を入れたベストを内側につけ、作業は午後5時〜11時の3時間交代制としています。
現場は1時間当たり36マイクロシーベルト。3号機タービン建屋海側では同598マイクロシーベルトに上り、記者らを乗せたバス内でも「ビー」と線量計の警告音が鳴りました。作業に従事し続けると許容被ばく線量(年間50ミリシーベルト以下)に達するため、作業員確保も課題です。
凍結がうまくいくかどうかや地盤沈下などの不安材料も。前提となる2、3号機海側地下トンネルの汚染水抜き取り工事が難航していることについて、原子力規制委員会では懸念が噴出。同原発の小野明所長は「反省材料」と認め、「念には念を入れて検討し、進めていく」とのべました。
(「しんぶん赤旗」2014年7月11日より転載)