東京電力福島第1原発で2、3号機の原子炉建屋から海側に延びる地下のトレンチ(トンネル)にたまる高濃度放射能汚染水を凍らせる工程がうまくいっていないことが7月7日、明らかになりました。同日開かれた原子力規制委員会の専門家会合で、東電が報告しました。
規制委や専門家から「(地下地盤を凍らせる)凍土壁も事実上、成り立たない」「凍土壁の信用性にもかかわる」などの意見が相次ぎました。
2号機と3号機の原子炉建屋地下などにたまる高濃度汚染水の一部は、海側の地下22メートルに埋まっている「トレンチ」と呼ばれるトンネル内に約1万1000トン流れ込んでいます。東電は、汚染水が海に流出するのを防ぐため、建屋とトレンチの接合部内に凍結管を差し込んで汚染水を凍らせ、建屋からの流れを止めた上で、トレンチ内の汚染水を抜き取る計画です。
しかし、4月末から凍結を始めたものの、1カ月半たっても凍らないため、凍結管を増やすなど追加対策をとりましたが、今月に入っても凍らすことができていません。いったん0度以下になったものの、再び上昇している場所もありました。
東電は、最大毎分2ミリメートルという流速データを示しながら、水の流れが凍結の障害になっているとして、水流の抑制対策などを実施すると説明。
これに対し、規制委の更田(ふけた)豊志委員は「流れを止めるというが、ガチンガチンに凍らせるよう冷却能力を上げてもらわないと困る」と要求。外部専門家は「凍土壁の今後を考えると、もっと大きな問題を抱えていると思う」と述べ、建設が始まった、建屋周囲の地下を1・5キロにわたって凍結させる凍土壁への懸念を表明していました。
ALPS 2系統・・東電 運転停止へ
東京電力は7月7日、福島第1原発の高濃度放射能汚染水対策として、トリチウム(3重水素)以外の多くの放射性物質を取り除く設備、多核種除去設備(ALPS)の2系統について、さびによる腐食対策のため1週間程度運転を停止すると発表しました。
東電によると、A系統で、吸着塔のフランジ部にさびの発生を防止する装置を設置。そのため、同系統は8日から、別のB系統も、今月下旬ごろからそれぞれ1週間程度運転を停止するとしています。
(「しんぶん赤旗」2014年7月8日より転載)