青森県大間町に建設中の大間原発について、北海道函館市が国と事業者の電源開発を相手に建設差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が7月3日、東京地裁(増田稔裁判長)で開かれました。
意見陳述に立った函館市の工藤寿樹市長は、「福島の事故を踏まえて手続きや手順を見直すこともなく建設を続行するのは、極めて横暴で強圧的なやり方だ」と国と電源開発を批判。国が原発事故時の防災重点地域を30キロ圏に拡大し、避難計画の策定を義務づけたのにもかかわらず説明会や意見をいう場がなく、北海道の側の意見は無視されていると主張しました。
函館市は、津軽半島を挟んで大間原発まで最短で23キロしか離れていません。「万が一過酷事故が起これば重大な被害を受け、地方自治体として存立できない」として、4月に全国で初めて自治体が原告となり、原発の差し止め訴訟を起こしました。
一方、国と電源開発は答弁書で「地方自治権は制度的に保障されているに過ぎず、法的な保護の対象ではないので訴えは不適法だ」と述べ、却下を求めました。
閉廷後の記者会見で工藤市長は、国などの主張に対し「本当に姑息。安全性に自信があるなら正々堂々と向かってくるべきだ」と話しました。
大間原発は、2008年に建設着工し、11年3月の東日本大震災の影響で建設が中止。国と電源開発は12年10月に北海道の側に一切説明せず、建設を再開しました。
(「しんぶん赤旗」2014年7月4日より転載)