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「凍土壁 言ってる場合か」・・規制委 汚染水リスク対策で &凍土遮水壁の工法を変更へ

 東京電力福島第1原発で2、3号機の原子炉建屋などの海側に延びる地下のトレンチ(トンネル)にたまる高濃度放射能汚染水の問題に関連し、6月25日に開かれた原子力規制委員会の定例会合で、汚染水が海に流出するのを防ぐためにトンネル内を凍結させる対策がうまくいっていないとして、更田(ふけた)豊志委員は「一番大事なリスク低減対策がうまく進んでいないのに、凍土壁がどうこうと言っている場合ではない」と述べました。

 福島第1原発の2号機と3号機の原子炉建屋地下などにたまる高濃度汚染水の一部は、原子炉建屋に隣接するタービン建屋から海側に延びる「トレンチ」と呼ばれるトンネル内に約1万1000トン流れ込んでいます。

 このため規制委は「最も大きな潜在的な危険」として昨年(2013年)6月から東電に対策を要求。東電はタービン建屋とトレンチとの接合部を凍結して壁を造ることで止水して、トレンチ内の汚染水を抜き取る計画を示し、今年4月末から凍結を始めました。

 しかし、1カ月半を過ぎても一部の凍結ができずにいます。東電は汚染水が常に流れているためとみています。

 政府と東電は、これとは別に、建屋地下に流入する地下水を減らし汚染水の増大を抑制するために、建屋の周りの地下をI・5キロにわたって凍結させる「凍土壁」の建設に着手しています。

 更田委員は「(トレンチ内の汚染水が)海洋へ流出するようなことがあれば、非常に大きな環境汚染になる。これがうまくいかなくて、凍土壁がどうこうと言っている場合ではない」と発言。田中俊一委員長も「国民にとって非常に不安材料。指導していく必要がある」と述べました。

 

凍土遮水壁の工法を変更へ・・福島第1

 福島第1原発の汚染水対策の一つ「凍土遮水壁」について、凍結管を地下に埋める工法の変更を東京電力が検討していることが6月25日までにわかりました。地下深くまで放射性物質による汚染が広がっており、凍結管を埋める穴を通して海への流出が懸念されるため。

 新たな工法は、掘削する穴の周囲をパイプで囲って止水対策するもの。東電は熱の伝わりやすい素材で凍結管の周囲を埋める対策をすると説明しますが、凍結効果が下がって凍土壁ができにくくなることが懸念されます。

 東電によると、原子炉建屋海側の「下部透水層」と呼ばれる深いところの地下水からトリチウム(3重水素)が、1リットル当たり3100ベクレル、同4700ベクレルと、周囲と比べて高い値が検出されました。

 凍結管は、下部透水層を突き抜けてさらに地下深くの透水層まで到達させます。従来の掘削方法では、穴を通って汚染地下水が海側に設置した遮水壁よりも深い透水層にまで広がり、海に流出する可能性があります。

(「しんぶん赤旗」2014年6月26日より転載)

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