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“火山と原発”(下)予知の研究は進行中・・金沢大の守屋名誉教授に聞く

 ──巨大噴火予知はどこまで可能ですか。

 予知は噴火の時間、場所、規模、様式、推移の五つを満足しないといけない。火山噴出物の分析や古文書解読などによる長期予測と、地震計などの観測機器、測地による短期予測の組み合わせで、数十日から年単位の予知ができるかどうかというところでしょうか。予知は1980年代から始まったもので、まだまだ進行中です。

 九州の6カルデラ火山を合わせて考えると、8200年間に1回の割合で巨大噴火を起こしている可能性が大きい。前回が7300年前ですから単純にいうと残り900年。これはあくまで平均で、前後することを考えれば遠い未来の話ではありません。

 ──原子力規制委員会の審査をどうみますか。

 今までの火砕流の最大到達距離を参考にしたとして、原発から160キロ圏内の火山を調査対象にしていますが、日本は狭いので火砕流が海に流れ込み到達距離は分かっていません。300キロ流れるという研究者もいます。

 また、巨大噴火が起こる可能性が十分小さければよいとしていますが、何をもって「十分小さいというのか」。一種のごまかしです。

 結論を言えば、世界で一、二を争う地震・火山国の日本において、原発は噴火予知の可能性にかかわらず、初めから全部だめということです。

 日本に巨大噴火が起こった時には、原発をゼロにしておき、放射能の拡散を防がなくてはいけない。それでも使用済み核燃料の問題は残ります。火山、地震のない地域での国際管理が理想ですが、現実的には難しい。しかし、原発という負の遺産として人類が向き合わなくてはいけない課題です。

 火山予知という科学は、原発再稼働のためでなく、噴火が起こる前に住民が避難し命を守り、また帰ってくる可能性を残すことにこそ、役割を果たすべきです。

(おわり)

(「しんぶん赤旗」2014年6月17日より転載)

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