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家畜の糞尿で発電・・余熱利用してチョウザメ養殖 余った電力は売って運営費に

センター研究棟でチョウザメの養殖の説明を受ける真下道議(左)=北海道鹿追町
センター研究棟でチョウザメの養殖の説明を受ける真下道議(左)=北海道鹿追町

 乳牛など家畜の糞尿(ふんにょう)を使って発電している道東・鹿追(しかおい)町のバイオガスプラントが、全国の注目を集めています。発電の際に出る余熱でチョウザメの養殖やマンゴーの栽培に取り組み、余った電力は北電に売り、施設の運営費にあてるなど「一石二鳥」の効果を生み出しています。新緑の映える5月末、真下紀子道議とともに現場を訪ねました。

(北海道三上博介通信員)

北海道鹿追町

 鹿追町は人口約6000人。十勝平野の北西部に位置する酪農と畜産の町です。近年は然別(しかりべつ)湖を核にした観光産業も発展し、年間80万人が来訪します。そこで問題になったのが″悪臭″です。酪農家が畑に堆肥としてまく糞尿の臭いを何とか軽減できないかと苦慮の末に行き着いた先がバイオガスプラントでした。

 2007年10月に稼働を始めた鹿追町環境保全センターは、家畜排せつ物や生ごみなどの再生可能エネルギーの一つであるバイオマス(生物資源)を活用し、そこから発生するバイオガスを製造・収集する施設です。

 プラント導入の効果について城石賢一係長は語ります。

 

環境保全センターで城石係長(左)から説明を受ける真下道議(右)=北海道鹿追町
環境保全センターで城石係長(左)から説明を受ける真下道議(右)=北海道鹿追町

 「地域の生活環境が改善されただけでなく、生成される堆肥などが安価で自然にも優しい有機肥料として、農地に還元されることで地域循環型農業の実現が図られる。発生するバイオガスで発電や、温水などの熱エネルギーとして有効利用ができます」

 施設の運営費は北海道電への売電収入(2013年度約4600万円)と、農家の利用料でまかなっています。昨年度は道内外から約2000人が視察に訪れ「今年度も申し込みが相次いでいる」といいます。

 研究棟の水槽の中でゆっくり泳ぐ約300匹のチョウザメも見学しました。「メスは8歳ぐらいから高級食材のキャビアが採卵できます」「身もとてもおいしいんです」と町商工振興労政係の鈴木綾さん。水温を適温(25度前後)にする熱源は、発電の際の余熱だといいます。

 吉田弘志町長は笑顔で将来図を語ってくれました。「きょうは新たなバイオガスプラントの起工式でした。稼働(16年春)すれば、1日の処理能力は現在の2・2倍の210トンとなり、町内酪農家の約3割をカバーできます。将来、売電収入が増えたら町民の教育費や福祉にまわしますよ」

原発に代わる安全エネルギー応援・・真下道議の話

 バイオガスは燃料としても期待され、隣の士幌(しほろ)町は1農家に小型プラント1台で成果を上げています。厄介者の牛の糞尿が、原発に代わる安全なエネルギー基地北海道へのけん引力となるよう応援していきます。

(「しんぶん赤旗」2014年6月15日より転載)

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