東京電力福島第1原発の汚染水の増加を抑制する地下水バイパス計画で、海への放出基準を超える放射性物質が検出され使用を止めていた井戸について、東電は6月12日、くみ上げを再開しました。
この井戸で5月26日に採取された水からは、放射性物質のトリチウムが1リットル当たり1700ベクレル検出されました。その後4回の分析結果も同1500〜1700ベクレルで高く推移。東電の定める基準は同1500ベクレル未満です。
同計画では、12本の井戸でくみ上げた水を一時貯留タンクにためて基準値を下回れば海に放出する方針。東電は、今回基準値を超えている井戸の水も、他の井戸の水と混ざり、薄まることによってタンク内の水の全体は基準を超えないと評価しました。
東電は井戸水の分析を週2回に増やし、全体への影響評価を続けています。地下水バイパス計画は、汚染水増加を抑える効果が期待される一方で、今回のような地下水そのものの汚染をはじめ懸念材料も多く、国と東電には厳格な監視・検証が求められます。
2氏を参事に・・原子力規制委
原子力規制委員会の次期委員に承認された田中知(さとる)東京大学大学院教授と石渡明東北大学教授が6月13日、9月の委員就任までの引き継ぎなどの目的のため規制委参事に任命されました。規制委を訪れた両氏は、辞令交付後、記者らの質問に答えました。
田中氏は、これまで原子力推進の組織などで理事をつとめてきたことから委員として適格性に疑問の声が上がっていることを問われ、「資格についてコメントする立場にない、国会で決定されたことを重く受け止める」と述べました。また、「どの国でも規制は孤立しないのがポイント。必要があれば改善する」と電力会社などとのコミュニケーションをはかる意欲を示しました。
また、石渡氏は、地震や津波などの評価で不確かさが大きな問題をどういう姿勢で判断するかについて「安金側に判断していくのは当然だと思います。ただ、国際的な基準というものがあるので、委員として就任した暁には国際的な基準というのをよく把握して、その上で判断をしていきたい」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2014年6月14日より転載)