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東北電 再稼働へ審査申請・・活断層、結論待たず見切り発車

東北電力が原子力規制委員会に提出した東通原発1号機の適合性審査の申請書=6月10日午前、東京都港区の原子力規制庁
東北電力が原子力規制委員会に提出した東通原発1号機の適合性審査の申請書=6月10日午前、東京都港区の原子力規制庁

 東北電力は6月10日、東通(ひがしどおり)原発1号機(青森県東通村)について、再稼働の前提となる新規制基準への適合性審査を原子力規制委員会に申請しました。同原発の敷地内には活断層が存在する可能性が指摘され、規制委の外部専門家による評価会合で検討が続いています。そのため、規制委は専門家による「一定の見解が出るまで」審査に入らないとしています。

 同原発は、東京電力福島第1原発と同型の沸騰水型。東北電は、再稼働の目標時期を2016年3月にしています。

 東北電の井上茂副社長は申請後の会見で、専門家の結論が出ていないのに申請したのは「見切り発車では」と問われ、「審査と評価会合を並行してやっていただきたい。活断層はないと説明を尽くしたい」と述べました。

 申請によると、同原発で想定される地震の最大の揺れ(基準地震動)を450ガルから600ガルに引き上げ、配管などの耐震工事を進めるとしています。想定される津波の高さは10・1メートルから11・7メートルに引き上げましたが、敷地の高さ(13メートル)を越えず、敷地内に浸水しないとしています。東京電力福島第1原発事故では14〜15メートルの津波が襲っています。

 重大事故の際に格納容器内の圧力を外に逃がし、放射性物質を減らす「フィルター付きベント(排気)」設備や、事故時の対応拠点となる免震重要棟は建設中です。

 規制委の外部専門家による敷地内の断層調査はこれまで4回実施。評価会合では、活断層を否定している東北電の主張に対し、専門家の4人全員から、活断層の可能性は否定できないと指摘されています。また、これとは別に1号機の重要施設の下に活断層があるとの指摘もあり、議論が続いています。

 東通原発をめぐっては、敷地内の断層だけでなく、下北半島沖合にある長さ100キロメートル以上といわれる巨大断層「大陸棚外縁断層」の活動性も問題になっています。

 今回の申請で全国16原発48基のうち、12原発19基目になります。

 

生活奪う・・海汚されたくない

 東通原発1号機(青森県東通村)の再稼働の前提になる新基準適合性審査を、東北電力が原子力規制委員会に申請した6月10日、東通村で、住民の声を聞きました。

住民が不安の声

 「津波で流されたアワビが山奥で見つかったことがある。地元では、その山を“あわびつこさ”と呼んで津波の怖さを語り継いでいる」・・。漁港を望む高台に家を構える女性(81)が教えてくれました。

 女性は「津波がいつかくるかと思って暮らしてきた。でも、今は津波より原発事故が怖い。原発事故が起こったら、東通の住民はどこにも逃げる場所がないんだよ。右行っても左へ行っても、一本道なんだ。何より暮らしを奪うでしょ」と話しました。

 海で出会った男性(80)は、「申請すると思っていたが、福島をみても事故がないとは、もう言えないよな。おれは海を汚されたくない。海を守るために頑張りたい」といいます。

 東通村に隣接する横浜町の沖津正博日本共産党町議は、「原発敷地内に活断層がある疑いが極めて高いとして、専門家が調査している段階なのに再稼働に向けた申請とはとんでもない。下北は風力発電のメッカ。東通原発は廃炉にし、再生エネルギーに転換し、その中で雇用と経済を守っていくのが政治の役割だ」と強調しています。

(青森県・藤原朱)

(「しんぶん赤旗」2014年6月11日より転載)

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