全国の原発再稼働の突破口に狙われる九州電力川内原発の再稼働を考えるシンポジウムが6月8日、同原発のある鹿児島県薩摩川内市で開かれました。主催は原発ゼロをめざす県民の会、県民主医療機関連合会、日本共産党県委員会。
会場は超満員の350人の熱気であふれ、「鹿児島でこんなシンポが開け、元気が出た」などのフロア発言も。同市の無所属市議や県内の反原発市民団体の人たち、同原発50キロメートル圏内の熊本県水俣市の市民らも参加。主催者は薩摩川内市のJAや医師会など約60団体に案内しました。
シンポで新潟大学の立石雅昭名誉教授(地質学)は、同原発付近の活断層の評価をめぐり、「九電は科学的調査方法を無視している」と批判。「南九州で火山の巨大噴火は近いという見解もある。九電は真剣に対応すべきだ」とのべました。
福島原発避難者訴訟原告団長で楢葉町宝鏡寺住職の早川篤雄さんは、家族が離散し、郷里に戻るか戻らないか悩んでいる避難者の現状を紹介。「再稼働を阻止するため、みなさんと力を合わせて頑張る」と語りました。
鹿児島国際大学の八木正准教授は、原発が「低コスト」というのは偽りであり、自然再生エネルギーこそ低コストで雇用効果も高いと指摘。「原発事故の被害額は甚大。絶対に事故を起こさないためには再稼働しないことだ」とのべました。
日本共産党の笠井亮衆院議員は、「大飯原発運転差し止めの画期的判決が出た。全国の反対世論に押され、電力会社や財界はあせってなりふり構わず再稼働を進めようとしている。原発への考え方の違いを超えて、こんな拙速で危険な再稼働はやめよという声を上げる時だ」と訴えました。
この自然汚してはならぬ・・シンポ参加者の思い
鹿児島県薩摩川内市で6月8日に開かれた再稼働を考えるシンポでは、さまざまな市民団体と日本共産党の代表が次々とフロア発言し、つめかけた参加者は熱心に耳を傾けていました。
住民過半数まで
同市の九電前で行っている金曜行動が、13日で100回目となる「さよなら原発いのちの会」の堀切時子代表は、再稼働の是非を問うアンケート活動で、現在850通が届いていると紹介。「口に出せない切実な思いがアンケートに詰まっている」とのべました。「反原発・かごしまネット」の杉原洋さんは、避難計画で避難者を受け入れる側の19自治体に調査した結果を報告しました。
ほぼ原発20キロ圏内に位置する、いちき串木野市の福田道代・日本共産党市議は、避難計画のない中での川内原発の再稼働に反対する緊急署名6千人分を市長に提出。「さらに住民の半数にあたる1万5千人に達するまで署名を集めたい」と決意を表明しました。
日本共産党の、まつざき真琴県議、井上勝博薩摩川内市議も議会での状況を報告しました。
避難計画丸投げ
参加した川内原発建設反対連絡協議会の島原良子会長(65)=薩摩川内市=は、「国が、避難計画を自治体や福祉施設まかせにし、丸なげしていることが明らかになった。党派を超えて再稼働阻止の運動をつくっていきたい」と話していました。
マラソンが趣味という鹿児島生協病院の医師、藤本佐和さん(25)=鹿児島市=はこの日、自宅からいちき串木野市までの43キロメートルを走ってシンポに参加しました。「海沿いの美しい景色を見て、この自然を汚してはいけないと思いました。医療現場に入って要援護者の避難の難しさを実感しています。再稼働させないため、私も運動していきたい」と話しました。
(「しんぶん赤旗」2014年6月10日より転載)