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最大3・4トン、せき外に・・基準超える汚染水 &凍土壁、工法など疑問

 東京電力は6月6日、福島第1原発で2日に発覚したタンク漏えい問題で、ベータ線量が高い水の漏えい量が最大4トンで、そのうち3・4トンがせき外に流出していた可能性があると発表しました。

 東電は、漏えいの原因はタンク天板の開口部から雨水が入ったこととみています。2月末ごろのパトロールで当該のタンク群で異常が確認されていないことから、約3カ月間、1秒に1滴の漏えいが続いたと仮定して推定しました。せきの排水弁の周辺ではベータ線が高線量で測定されており、東電は周辺の土壌を回収しています。

 当該タンクの水からは、1リットル当たり7万2000ベクレルの全ベータ(ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質)が検出されています。雨水を放出する東電の基準にたいして、ストロンチウム90(放出基準は同10ベクレル未満)が半分程度と仮定すると、数千倍規模に相当する濃度です。

 当該タンクは、高温度の放射能汚染水をためたタンク群を囲うせき内の水の移送先。汚染水が入っているにもかかわらず、東電は「雨水」として扱い、汚染水タンクのせきの排水弁は閉めると決めたルールの対象外にしていました。

 また東電は、汚染水から放射性物質を取り除く設備「ALPS」 (アルプス)の全3系統のうちトラブルで停止中のA、C系統について、放射線で劣化したとみられる部品を取り換えて、それぞれ9日、19日に汚染水処理を再開する予定を明らかにしました。

 

工法、管理など疑問・・福島第1 凍土壁で専門家から

 東京電力福島第1原発で建屋地下にたまった放射性汚染水への地下水の流入を抑制するために、国と東電が計画している原子力建屋などを取り囲む凍土遮水壁に関して6日、原子力規制委員会の専門家による検討会で、議論されました。専門家からは工法や管理方法などについて多くの疑問が出されました。

 東電と施行を請け負った鹿島建設は、凍土壁を横切るケーブル配管など地下構造物への対応などを説明。雨水などの排水路は、断熱材によって内部の水を凍結させずに周りの土壌を凍結させると説明しました。しかし、専門家から実効性などについて疑問が出されたため、さらに検討を行うことになりました。

 把握されていない地下構造物がある可能性について、東電は「40年経過しているので(埋設物は)不透明」と答え、慎重に工事を進めると述べました。

 また東電は、凍土壁を敷設後、建屋周辺の地下水の水位が低下し、建屋内の汚染水が周囲に流出する危険が指摘されていることから、水位をどのように管理するかについて説明。しかし、建屋たまり水を測る水位計自体の精度などが問題にされました。

 凍土壁は全長1500メートル。約1メートル間隔で30メートル程度の凍結管を地中に埋設し内部に冷却剤を通し、周囲の土を凍らせ遮水壁を形成します。計画自体の認可はまだですが、東電は2日から、1号近くで穴あけ工事を始めました。来年3月に凍結を開始する計画です。

(「しんぶん赤旗」2014年6月7日より転載)

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