「電気料金よ、おまえもか」。家庭に配られた5月分の「請求書」。基本料金などが、消費税増税の直後、追いうちをかけるように値上げされました。請求書から見えること、見えないことを探ってみました。
(海老名広信)
消費税増税の影響は電気料金の場合、5月分から。請求書に消費税額が明示されています。
増税は消費税以外にも。それは石油・石炭税。5月分の電気料金を押し上げます。その増税分は、東京電力のカスタマーセンターによると「燃料費調整に含まれます」。
燃料費調整は、石油価格などの変動分を基準額へ自動的に反映するもの。原油高騰やアベノミクスによる円安で上がりっぱなしです。請求書には金額と変動幅が表示されています。
請求書で目につくのが「再エネ発電賦課金等」です。過去1年分の請求書をみると毎回、画面に記述があります。
再エネ賦課金は、電力会社が買い取った再生可能エネルギー発電の費用を利用者が使用電力量に応じて負担するもの。2009年11月に始まった太陽光発電の余剰電力買取制度と12年7月開始の再エネ固定価格買取制度にもとづきます。以上は請求書からの情報です。
●なぜ別扱いに
でもなぜ再エネだけ表示しているの? 東電に聞くと、広報が「基本料金や電力量料金とは性格が違うから、再エネは別扱いで表示しています」。
再エネ賦課金の単価=1キロワットアワー(kwh)=は5月分から0・75円に上がりました。4月分までは0・35円。「再エネが普及すればするほどお客さんの負担も増えますよ」。語気を強める広報担当者。それがいいたくて、請求書で再エネを目立たせているのですね。本音がわかりました。
一方、「基本料金」「電力量料金」の内容は不明です。ここには「総括原価方式」といって電気事業に必要な経費が積み上げられています。
どんな費用が含まれているのか。東電広報は「広く公表しています。ホームページを見てください」。指示に従ってプレスリリース(報道発表)の12年7月25日「電気料金値上げの認可について」にたどりつき、そこにある「参考資料」を見るよういわれました。どれはどの人が探しだせるでしょうか。
58ページある参考資料を見ても、国民の関心が高い原発の費用が、電気料金にどう反映しているのか、よくわかりません。
福島第1原発事故の収束・損害賠償などの費用を電気料金(付加金)として国民が負担しています。
日本共産党の塩川鉄也衆院議員は原発付加金額を独自に試算し5月の国会で示しました。東京電力の原発付加金の単価(kWh)は0・80円。これは12年度に電気料金が値上げされた際の金額でいまも同額です。12年度の再エネ賦課金等は0・28円でした。原発のほうが3倍近くも高いのです。
●ルールが必要
いま「電力システム改革」が進められています。16年には、各家庭が電力会社を選べる予定です。料金設定も自由。塩川さんは「自由化というが事実上、大独占が残る。総括原価のブラックボックスにふたをするのではなく、原価情報の公開など国民参加のルールが必要です」と強調します。
塩川さんは昨年(2013年)6月の国会で、請求書の「見える化」など国民の関心にこたえる工夫を電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)に迫りました。八木会長は「検討する」と答えたのに実現していません。今年5月14日の国会でも塩川さんは再度、八木会長を厳しく追及しました。
(「しんぶん赤旗」2014年6月6日より転載)