ヒマラヤ山脈に源を発する大河のいずれも、温暖化の影響で少なくとも今後数十年にわたって流量が増加する見通しであることがわかった・・。オランダとネパールの研究グループが最新の気候変動モデルに基づいて計算した結果を、6月1日付の科学誌『ネイチャー・クライメート・チェンジ』に発表しました。
ヒマラヤ山脈からは、インダス川、ガンジス川、ブラマプトラ川、サルウィン川、メコン川など世界でも有数の大河が流れ出しています。流域には上流だけでもパキスタンやインド、ネパール、中国などさまざまな国の数多くの人々が住んでおり、これらの河川の流量の変化によっては今後の水利用計画や洪水対策に大きな変更が必要となります。
研究グループは、これらの大河の流量の変化をもたらす要因である、上流の氷河の融解や降水量が今後どうなるか、さまざまな条件を加味した最新の気候変動モデルを組み合わせて試算しました。
その結果、いずれの河川の上流でも氷河の融解が進むものの、ガンジス川、ブラマプトラ川、サルウィン川、メコン川の場合は氷河そのものが縮小していくため、氷河の融解による流量の変化は大きくないことがわかったといいます。一方、インダス川の上流では氷河の融解量の増加によって少なくとも2050年まで流量の増加が続くとしています。
また、ガンジス川、ブラマプトラ川、サルウィン川、メコン川の上流では降水量が増加するため、やはり少なくとも2050年まで流量の増加が見込まれるといいます。
(「しんぶん赤旗」2014年6月2日より転載)