東京電力福島第1原発事故の除染で出た汚染土の中間貯蔵施設の建設に向け、環境省は5月31日午前、福島県いわき市で初めての住民説明会を開きました。2015年1月の汚染土搬入開始を目指す同省は、用地買収時の補償に当たり「将来使えるようになる土地」として価格を算定することや、貯蔵開始から30年以内に汚染土を県外で最終処分する政府方針を法制化するなどの考えを提示しました。
環境省の藤塚哲朗中間貯蔵施設チーム長が、「安全対策を講じ、国が管理運営に責任を持つ」と、建設に理解を求めました。
住民側からは、用地買収の具体的な価格を示すよう求める声が相次ぎましたが、同省は個別に算定するため明示は難しいと表明。施設建設に伴う風評被害を懸念する声に対しては、地域振興に活用できる交付金の創設で対応すると説明。説明会は6月15日まで同県を含む6都県で計16回開かれる予定。
井戸水また基準超え・・福島第1・地下水バイパス
東京電力は5月31日、福島第1原発の地下水バイパス計画で、海への放出基準を超えたために27日にくみ上げを停止した井戸で、29日採取分でも同レベルの1リットル当たり1700ベクレルのトリチウム(3重水素)を検出したと発表しました。井戸からのくみ上げができないような汚染レベルが継続し、地下水バイパス計画の前提が崩れる事態が懸念されます。
この井戸は12本あるくみ上げ用井戸の最南端にあり、26日採取分で放出基準(同1500ベクレル未満)を超えたため、27日にくみ上げを停止しました。この井戸の上流側には、昨年8月に高濃度の放射能汚染水が漏えいしたタンクがあり、最近では周辺の地下水の放射能濃度に上昇傾向がみられています。
地下水バイパス計画は、原子炉建屋地下などへの地下水流入による高濃度の放射能汚染水の増加を抑制するために、建屋の山側で地下水をくみ上げて海に流す計画。東電は、3回目の放水を2日に予定しています。
(「しんぶん赤旗」2014年6月1日より転載)