川内原発を動かすな・・倉林氏 エネ政策見直し迫る
電気事業法改定案が5月30日の参院本会議で審議入りしました。日本共産党の倉林明子議員は、同法案が戦後の電力独占に対する電力システム改革の第2段階をなし、「前提として求められるのは原発事故被害の実態を踏まえたエネルギー政策の抜本的見直しであり、原発ゼロこそ決断すべきだ」と主張しました。
倉林氏は、政府の新エネルギー基本計画に対し、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、「原発を使い続ける宣言だ」と批判。大飯原発差し止め判決を受け止め、川内原発を含む再稼働を「きっぱり断念すべきだ」と求めました。茂木敏充経産相は「現実的かつバランスのとれたエネルギー需給構造をつくることが必要」と答えました。
法案の柱である小売り参入全面自由化とエネルギー産業再編について倉林氏は、電力10社は発電、送配電、小売り3事業を兼業、実質的に現行と同様の体制を維持し、「規制なき独占」が続くことが懸念されると指摘し、「小規模な新規参入事業者の保護と育成はどう担保するのか」と質問。茂木経産相は懸念には答えず「競争をうながす環境整備にとりくむ」と述べました。
新規制基準は“不備”・・笠井氏質問 専門家が指摘
衆院原子力問題調査特別委員会は5月29日、原発の規制のあり方について参考人質疑を行いました。政府が「世界で最も厳しい水準」とする再稼働審査の新規制基準に対して、専門家が“妥協”や“不備”を指摘しました。日本共産党の笠井亮議員が質問しました。
井野博満東大名誉教授は、新規制基準の問題点を▽現実に妥協する基準にとどまっている▽世界で最も厳しい水準ではない▽多くの不備がある▽規制基準に適合すれば安全というのは論理の飛躍―と批判しました。
このうち、原子力規制委員会の妥協については、「(原発事故時に使う)第2制御室などの5年間(の整備)猶予は、安全性の観点からは出てこない判断だ」と指摘。規制水準の低さについても、溶融した炉心を受け止める「コアキャッチャー」を欧州と違い加圧水型原子炉に義務付けていないなどと具体的に示しました。
笠井氏は、再稼働申請中の原発への大量の地下水流入を示して、「規制基準に汚染水、地下水対策が入っていないが、どう思うか」と質問。井野氏は「地下水を評価してなかったのが、原発事故後に汚染が拡大した原因」と述べ、規制委が優先審査する九州電力川内(せんだい)原発でも地下水対策が重大だとしました。
笠井氏は関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた21日の福井地裁判決についても質問。井野氏は「裁判官の判断は市民の一般常識に立ったものだ」とし、原子力の専門家にも誤りや主観的判断があることを踏まえて市民に依拠した判決だと高く評価しました。
避難者の損害賠償を・・田村氏 福島原発事故で要求
日本共産党の田村智子議員は23日の参院東日本大震災復興特別委員会で福島第1原発事故による避難指示が解除された地域の実態を示し、損害賠償についてただしました。
避難指示解除から2年がたつ福島県広野町は今も町民の7割が町外に居住しています。
田村氏は、年間放射線量20ミリシーベルト以下という基準では不安から戻れない実態があり、帰還しても生活は元に戻っていないことを指摘。にもかかわらず、精神的損害の賠償や就労不能賠償が打ち切られたことは問題だとして、見直しを求めました。
経済産業省の磯﨑仁彦政務官は「放射線の基準は適切。避難を余儀なくされた期間が賠償の対象」と冷たく言い放ちました。
田村氏は「避難指示を解除すれば戻れるというのか。自給自足の生活を奪われた被災者が、貯金を取り崩して生活している」と批判。広野町などの実態をみずに、避難指示解除から1年で賠償を打ち切る中間指針第4次追補の再考を強く求めました。
(「しんぶん赤旗」2014年6月1日より転載)