東京電力は5月30日、福島第1原発で、建屋への地下水流入による高濃度の放射能汚染水の増加を抑制するために国と東電が計画している「凍土遮水壁」の工事を6月2日に着手する予定だと発表しました。
凍土遮水壁は、1〜4号機を囲む形で地面の深さ的30メートルまで凍結管を埋め込み、周囲の土壌を凍らせるもの。厚さ的2メートルの凍土の壁で建屋群の周囲(総延長的1500メートル)を取り囲むことで、地下水の流入を阻みます。
凍結管的1550本を順次埋め込み、来年3月には凍結を開始したいとしています。
原子力規制庁は同日の東屋との面談で、地下埋設物への影響について対策を確認したとして、着手は妨げないと東電に伝えました。
凍土遮水壁をめぐっては、原子力規制委員会の検討会で、効果や安全性をめぐって専門家から疑問が出されていました。政府は、建設費319億円に国費を投入することを決めています。東電によると、凍結を維持するため一般家庭1万3000軒に相当する電力を使用するといいます。
地下水放出へ・・来月(6月)2日、3回目
東京電力は5月30日、福島第1原発の「地下水バイパス計画」で、3回目の海洋放出を来月2日に行うと発表しました。放出量は約890トンになる見込みです。
同計画は、1〜4号機建屋に地下水が流入し、高濃度放射能汚染水が増えているのを抑制するため、建屋上流側で地下水をくみ上げ、タンクに貯蔵した上で海に放出するもの。12本あるくみ上げ用井戸の一つで採取した地下水から、放出基準値を超えるトリチウム(3重水素)が検出され、27日にこの井戸からのくみ上げを停止しています。
また東電は30日、カメラ搭載ロボットを使って行っていた1号機の格納容器下部の漏水個所などの調査が、障害物のため予定していた範囲の一部で行えなかったと発表しました。
調査は、原子炉建屋地下1階の通路でロボットを運転して行っていましたが、上部にある配管の保温板金とみられる物体が通路に落ち、ふさいでいることがわかりました。
(「しんぶん赤旗」2014年5月31日より転載)