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日本原電、発電ゼロでも・・販売先 5電力から1242億円

全取締役の総年収4億4200万円・・電気料で消費者負担

〈注〉決算報告、有価証券報告書などで作成。役員のカッコ内は電力会社での役職
〈注〉決算報告、有価証券報告書などで作成。役員のカッコ内は電力会社での役職

 原発専業の日本原子力発電(日本原電)は、2013年度も発電量が2年連続でゼロだったのに、「販売先」の東京電力など電力5社から計1242億円もの「基本料金」を受け取っていることが、2014年3月期連結決算でわかりました。結果として電気料金として消費者の負担につながるだけに、批判の声があがっています。

 日本原電が保有している原発は、原子力規制委員会に再稼働の前提となる安全審査を5月20日に申請した東海第2原発(茨城県東海村)、直下に活断層の存在が指摘されている敦賀原発1、2号機(福井県敦賀市)の計3基。東日本大震災後、いずれも稼働を停止し、発電量ゼロの状態が続いています。

◇ハードルは高く

 ところが、日本原電の大株主でもある東京、関西、中部、北陸、東北の5電力が日本原電から電気を買う契約を結び、購入電力がゼロでも、原発の維持や管理、再稼働に向けた安全対策費などを負担する「基本料金」を支払っているのです。

 基本料金は、前年より17・7%、267億円減ったものの、1242億7100万円にのぼっています。

 日本原電の浜田康男社長は21日、「経営状況は非常に苦しく、原発再稼働を目指す」と強調しましたが、再稼働のめどは依然として立たないのが現実です。しかも、関西電力大飯原発の再稼働差し止めを命じた福井地裁判決(21日)が、原発について、他の技術とは異なる「本質的な危険性」を繰り返し強調したように再稼働へのハードルはさらに高くなりました。

 しかし、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は「基本的には(日本原電の支援)継続の検討をしていく」と説明しており、15年3月期に5電力から受け取る基本料金は、14年3月期より減少するものの約1100億円と見込まれています。

 日本原電から「受電」する5電力のうち、東京、関西、中部、東北の4社は震災後、原発が稼働せず、経営が悪化し、電気料金を引き上げており、発電しない日本原電への支援を継続することは、消費者から批判が上がるのは当然です。

◇電力から天下り

 一方、日本原電の役員は、浜田社長が元関西電力副社長など、13人の常勤役員中、3人が電力会社の天下り。八木氏はじめ、東京電力の広瀬直己社長、東北、北陸、中部の各電力会長、電源開発社長の6人が非常勤取締役に就任しています。

 有価証券報告書によると、全取締役の年間報酬総額は4億4200万円。非常勤役員の報酬は1000万円以下とされ、常勤役員13人の平均は3000万円弱になるというべらぼうぶりです。

 この高額報酬も国民が支払う電気料金です。原発再稼働にしがみつく「原発利益共同体」の癒着の構造にメスを入れる必要があります。

(「しんぶん赤旗」2014年5月31日より転載)

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