福島市に住む高橋久子さん(69)は、即時原発ゼロを訴える福島金曜行動には息子夫婦の家族とともに「8割ほどは参加してきました」と言います。
福島市内の「街なか広場」で午後6時から1時間、「電気はたりている 再稼働反対」「海に流すな 汚染水」「収束宣言撤回せよ」などとドラムやタンバリン、シンバルなどの打楽器をたたいてのアピール行動は、1年10カ月近くになります。
悔しさから行動
金曜行動は「誰にでも意思表示できる表現方法だ」と思っている高橋さん。こだわりを持って参加しているのは、「何気なく過ごしてきた当たり前の生活
が原発事故で壊されてしまったことへの悔しさです」と言います。
「畑でできた野菜を食べさせる喜び」などがなくなりました。そして「外で自由に遊んでいた子どもたちの行動も制限されることになった」など、放射線量を測定したりしないと暮らせない非日常的な状態を強いられることになったのです。
避難すべきか。このまま福島で子育てできるのだろうか。「家族全体が悩みました。私たち家族は、福島に残って子育てをすることを選択しました」。そうした中で高橋さんが心掛けているのは、「これからの世代を支える役割を持っている私たちがどっしりと構えて動揺を子どもたちや孫たちに見せないこと」と、腹に据えました。
「私たちの世代が動揺していたら子育て世代と孫世代が不安になります」と言います。
「東京電力福島第1原発が事故を起こして放射能をまき散らしていることはまぎれもない現実です。この現状をしっかりと受け止める。そして賢く生きることです」。そのために学習や食品放射線測定を自分たちでやっています。
再稼働許せない
「ここで頑張る」と腹に据えてみると「福島で原発ゼロの声を上げないでどうするのか?」と行動に駆り立てられました。
「原発即時ゼロ」「子ども・いのち・くらし」を守ることを求める100万人署名を医療生協のつながりなどで訴えています。
「当たり前の生活が奪われたままで再稼働など許せない」と、安倍首相の暴走に怒ります。「福島は何も収束などしていないのに、もう無かったようなことにして、解決ずみのようにしようとしている政府。容認できません」
金曜行動に参加する人たちをもっと増やしたいと願っている高橋さん。「福島人は黙っていてはいけない。現実をしっかり見て認識しながら反対の声を上げ続ける。私たちの苦しみは誰にも味わってほしくないからです」
(菅野尚夫)
(「しんぶん赤旗」2014年5月29日より転載)