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再生可能エネ推進へ条例 住民組織の発電事業支援・・長野・飯田

長野県飯田市(10万4千人)は4月1日、「飯田市再生可能エネルギーの導入による持続可能な地域づくりに関する条例」を施行しました。町内会など住民組織が太陽光や小水力など再生可能エネルギーを使った発電事業に取り組む際、行政が支援する仕組みを決めたもので、全国初のケースです。
(君塚陽子)

13-04-22iida具体化が一歩すすむのは同市上村地区。急峻(きゅうしゅん)な地形を流れる川を利用した小水力発電を地元住民で計画しています。景観の美しさから″日本のチロル″と呼ばれる同地区は、住民約500人の半分が65歳以上と少子高齢化に悩んでいます。上村自治振興センターの担当者は「小水力発電で見込む売電収益は約1000万円。女性の視点も生かして、収益を子育て支援や高齢者のケアに使おうなどと話し合っています」と語ります。

同市地球温暖化対策課の田中克己さんは、「条例の主眼は″持続可能な地域づくり″」と言います。「太陽の光や川の流れなどの自然資源は住民のもの。住民はその利益で持続可能な暮らしをする権利があるという地域環境権の考えを条例に込めました」

独視察して感銘

田中さんはドイツを視察し、住民が「ゲノッセンシャフト」と呼ばれる組合をつくり、再エネ事業に取り組む姿に感銘をうけました。「収益を地域住民にどんな形で還元するのかとことん議論する真剣さが違うと感じました」

日照2千時間超

もともと同市では、年2千時間を超える長い日照時間を生かして、太陽光発電が盛んです。その資金繰りを支えてきた飯田信用金庫の常勤理事、上沼俊彦さん(融資部長)も条例づくりに関わりました。

「職員のほとんどは地元に住んでいます。地域に生きる企業として、地域の発電事業が金融的に成立するかどうか助言もし、役立っていきたい」

同市では今後、条例の説明会も開き、住民による発電事業を広げていく予定です。

多くの市民のかかわりで
飯田市の条例づくりに関わった水上貴央弁護士(再工ネ事業を支援する法律実務の会代表)の話

現在、メガソーラーなど再生可能エネルギー事業をやっているのは圧倒的に大企業です。これは大変まずい事態です。大企業しかやらないとなると、この事業はあと3年でつぶれると思います。

というのも今は買い取り価格が高いので、大企業は国内でやっていますが、価格が下がったら日本でやる保証はありません。あっという間に日本の再エネ事業はしぼみます。そして、原発推進の人たちは大宣伝するでしょう。″日本に再生可能エネルギーは無理″と。

しかし、地域で″おらが村の太陽光″と取り組む人たちは、赤字では困るけれど、もうからないからといって海外進出はしません。日本に再エネを根付かせるには、こうした地域主導の再エネ事業者を増やし、支えていくことです。

飯田市の条例のポイントは、行政が小さな事業体に助言し、信用力を強化することで、その審査には弁護士もかかわります。そうしないと、小さな事業体は信用力がなくてお金が借りられず、大企業しか参入できないからです。

ドイツが脱原発にかじをきったのは、端的に言って原発より再エネで恩恵を受ける人が増えたからです。多くの市民が再エネにかかわり、その恩恵を実感する、それが脱原発のリアルな道でもあると思います。(東京弁護士会主催の「環境シンポジウム」の発言から

条例による支援内容

①住民団体などが発電事業計画をつくるとき、安定的に運営できるよう、専門家で構成する市の審査会から助言や提案を無料で受けられる。
②事業の公共性や経営安定性を飯田市が公的に認証し、その計画に信用力を持たせ、地域金融機関などからの貸し付けや市民ファンドからの資金提供を受けやすくする。
③市は再生可能エネルギー推進基金(4千万円)を設立。事業のために必要となる調査費用を無利子で借りることができる。

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