東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)では事故から2年余たちます。しかし、増え続ける放射能汚染水をためるタンクは限界に近づき、その場しのぎで造られた地下貯水槽から汚染水が漏れるなど、「収束」とは程遠い状況が続いています。汚染水について問答形式で解説します。
あやめ 東京電力の福島第1原発で、地下貯水槽から放射能を含む汚染水が大量に漏れて問題になっているけど、そもそも汚染水ってどこから出たものなの?
燃料を冷やす水
春男 1~3号機の原子炉の中からだ。事故で溶け落ちた核燃料を冷やすために水をかけているからね。
あやめ 核燃料ってまだ熱いの?
春男 いったん原子炉で使われた核燃料には、いろんな種類の放射性物質が大量に含まれていて、それが放射線と共に熱を出し続けている。どちらも時間と共に減っていくけど、半減期が数十年とか数万年という放射性物質もあるから発熱も長時間続く。
あやめ かけた水が、汚染水になるのね?
春男そう。水をかけることで、特に水に溶けやすいセシウム137とかを含んだ汚染水が作られ、原子炉建屋の地下に流出している。
あやめ 水は原子炉内に入れているのに、なんで地下に流出するの?
春男 原子炉は、圧力容器も格納容器も事故で壊れてしまっている。だから水は、かけたらかけた分だけ原子炉建屋の地下へ流出してしまう。核燃料がどう水に漬かっているかどうかもはっきり分かっていない。
あやめ まるで掛け流しね。水は、どこから漏れているの?
春男 それを突き止めることは、今後の廃炉の工程にも大きく影響する。建屋の地下は放射線量が高くて人が近づけないから、遠隔操作のロボットを使って調べたりしているけど、今のところ手がかりすら得られていない。
大きなジレンマ
あやめ そういえば、故障してロボットが次々帰れなくなっているのよね。ロボットがかわいそう。ところで水をかけると汚染水ができるなら、かけるのをやめることはできないの?
春男 東電は、今も注水が34時間停止すると燃料が再損傷すると推定している。使用済み燃料は、数年間は水中で冷やし続けないといけない。当然1~3号機も、まだまだ冷やし続けないとだめなんだ。
あやめ 損傷するとどんな危険があるの?
春男 再損傷するとまた大量の放射性物質がガス化して大気中に放出されかねないそうだ。
あやめ 冷やさないといけないけど、冷やすと汚染水ができる。大いなるジレンマね。(つづく)