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福島県 東電に数十億円請求へ・・夏にも和解仲介申し立て

東京電力福島第1原発事故で、福島県が2011年度の風評被害対策費や税収減少分について東電に損害賠償を求め、今夏にも裁判外の紛争解決手続き(ADR)を行う原子力損害賠償紛争解決センターに和解の仲介を申し立てる方向で調整していることが5月3日までに、分かりました。申立額は数十億円になる見通しで、ADRでも進展がない場合、民事訴訟を起こすことも視野に入れています。

東電などによると、自治体による和解仲介申し立ては極めて異例。県は東電との直接交渉が進まないため、第三者の同センターの判断を仰ぐことにしました。東電と県内各市町村の賠償交渉も難航しており、県に続く自治体も出そうです。

福島県は昨年(2012年)7月、東電に対し、11年度の事故対策事業費や企業の県外移転による県税減収分など約63億2500万円の損害賠償を請求しました。しかし東電はこれまでの交渉で、学校給食の放射性物質検査費など、一部の請求に応じる考えを示すにとどまっています。

県は直接交渉では大半の項目で折り合いが付かないとみており、5月中にも63億円余の請求の中から申し立てる項目を選定する方針。既に13年度の一般会計当初予算に、ADRや民事訴訟など法的措置に必要な費用3300万円を計上しました。12年度以降の請求分については、直接交渉の状況をみて判断します。

 

解説・・直接交渉進まず

福島県が東京電力福島第1原発事故の損害賠償請求で和解の仲介を申し立てる背景には、東電との直接交渉で進展が見られないことへのいら立ちがあります。

県と市町村、経済団体などでつくる福島県原子力損害対策協議会(会長・佐藤雄平知事)は4月上旬、賠償に関する公開質問状を東電に提出。自治体の賠償請求についても多くの質問が盛り込まれましたが進展はなく、佐藤知事は同月下旬の記者会見で「当事者意識のない姿勢は2年たっても変わらない」と厳しく批判しました。

県のような法的措置検討の動きは、市町村でも出始めています。4月下旬の同協議会の全体会議では、県市長会会長の瀬戸孝則福島市長が、同市の損害賠償請求をめぐって法的措置も辞さない構えを示しました。

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