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福島第1原発 事故原因解明へ 規制委が検討開始・・2年経過多くの未解決問題

東京電力福島第1原発事故の原因究明をおこなうための検討会を原子力規制委員会は先月から、開始しました。今後は月1回程度開催するとしています。

13-05-13hikaku現場検証は困難

これまでに、政府や国会、東電などが事故調査の報告書をまとめています。しかし、未解明な問題や見解が異なる点が存在します。(別表)

このため、検討会では、当面の検討課題を国会、政府事故調において引き続き検証が必要とされている事項などとしています。

この中には地震によって安全上重要な設備への影響の有無や、4号機原子炉建屋の水素爆発における水素の発生源などが挙げられています。

事故発生からすでに2年以上が経過しながら、多くの未解明な問題があります。
しかも、炉心溶融や水素爆発が起きた福島第1原発の1~4号機では、原子炉建屋内や周辺の放射線量が高いので、原因究明のために人が立ち入っての検証が困難な領域が多くあります。

一方で、廃炉作業などによる現場保全への影響や、さびなどによる建屋や機器の腐食も懸念されています。早急に事故分析を開始し、現場管理などが求められていました。

第1回の検討会では、国会事故調と政府事故調で見解の異なっている、1号機原子炉建屋での出水と、4号機原子炉建屋水素爆発の水素源の議論がはじまりました。

国会事故調報告書では、1号機の原子炉を冷却する非常用復水器(IC)用大型タンクが設置されている4階で地震時に出水を目撃したという作業員の証言が記載されています。このため、地震によって損傷した可能性が指摘されている非常用復水器配管との関連が、懸念されています。

議論では、作業員の目撃時の詳細などを確認する必要が指摘されました。また、配管からの漏れの可能性については水を張っての試験が提案されました。

できるものから

規制委の田中俊一委員長は、福島第1原発事故分析の検討は「長期に続く」と述べています。また、更田豊志委員も検討会で「事故分析は10年、20年続けるものになるだろう」としています。しかし、検討会では、当面2014年末に予定されている、福島第1原発事故に関するIAEA(国際原子力機関)リポートにも反映するように、事実関係の究明、整理をすすめるとしています。スケジュールありきの拙速な結論を出す可能性もあり、どこまで原因究明がされるか注視する必要があります。

規制委では、網羅的な報告書をまとめるのではなく、″つぶせるものから″論点ごとに報告をまとめていくとしています。

検討会で挙げられた国会、政府事故調において引き続き検証が必要とされている事項
○地震の揺れによる安全上重要な設備等への影響
・小規模な冷却材喪失事象の発生の可能性及びその影響
・一部の非常用交流電源が津波以外の要因によって喪失した可能性
○事象進展に関連する論点
・1号機非常用復水器(IC)の作動状況(弁動作等)、出水元の特定
・1号機の逃がし安全弁(SR弁)の作動状況
・3号機使用済み燃料プールにおける再臨界の可能性
・4号機原子炉建屋の水素爆発における水素発生源

1号機原子炉建屋の非常用復水器周辺状況の調査=2011年10月、東京電力提供

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