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原発「稼働ゼロ」米が妨げ・・原発㊤/日米従属経済

一昨年(2011年)の東京電力福島原発事故を受け、「原発ゼロ」を切望する声が国内外で高まっています。しかし、日本が「原発ゼロ」へ向かうことを、米国が根底で妨げています。

「エネルギー安全保障の観点から、原子力重視の姿勢を堅持するアメリカの姿勢に学ぶべきであります」。4月に開かれた日本原子力産業協会の年次大会で、同協会の今井敬会長はこう発言し、米国の姿勢を強調して日本のエネルギー政策で原発を重視するよう求めました。

2月の日米首脳会談は今後も原発を推進することで一致しました。オバマ米大統領は「原子力の分野で、日米間の協力を進めていきたい」と強調。安倍晋三首相も「米国とは国際的な原子力協力のパートナーとして様々なレベルで緊密に連携していきたい」と述べました。

日米同盟強調

会談で安倍首相は、民主党政権下で決定された「2030年代に原発稼働ゼロ」との方針を「ゼロベースで見直す」と約束しました。米国や財界の意向を受けたものです。「稼働ゼロ」方針について、米エネルギー省のポネマン副長官が昨夏、「このような措置を実際にとれば意図せざる影響もありうる」と懸念を表明。経団連の米倉弘昌会長も「実現困難」と非難しハエネルギー政策の策定において「日米同盟関係の維持も重要である」と強調しました。

オバマ大統領が日本に求める「協力」について、外務省関係者は語ります。「米国は原発を輸出したい。そのために日本に技術協力を希望している。米国は交渉力やブランドカが圧倒的に強く、日本の技術力とアメリカの交渉力を組み合わせたいのだ。今、具体的に進んでいるベトナムへの輸出もおそらく日米連合でやる」。

米国では、1979年のスリーマイル島原発事故の後、原発の新規建設はありません。その後、原発機器の製造技術などが弱体化したと指摘されています。米国は2000年以降、国内での原発新設や、世界への原発の拡散に乗り出します。

ブッシュ前政権が01年、原発建設の方針を打ち出します。翌年には、10年までに原発新設を目指す計画を発表しました。

さらに、米国は06年、多国間の原子力協力体制「国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)」を提唱しました。GNEPは、「原子力エネルギーを拡大」し、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル開発を促進することなどをうたっています。

拡散の協力者

GNEPを世界で最初に支持した国が日本でした。政府が06年に決定した原子力立国計画に、「これまでの経験や技術を最大限にいかし積極的に協力・貢献を行う」と明記し、従順な姿勢を見せました。今日に至っても、技術的困難さなどを理由に欧米が開発をやめた高速増殖炉などを、「国際協力」の口実で推進してぃます。

「『GNEP』構想に基づく原子力エネルギー研究開発協力」などを目的として、07年、日米原子力エネルギー共同行動計画が策定されます。共同計画は、「原子力エネルギーに関心を有する国」へ「原子力エネルギーの拡大を支援する」と掲げ、原発輸出を含めた「日米協力」を強調しました。日本は共同計画を、「長い日米の原子力協力の歴史の中で極めて画期的な位置づけ」と評価しました。

福島原発事故を受けた後でさえ、平然と「協力」を進めます。日本は11年9月、国連の原子力安全に関する首脳会議で、原発輸出を「国際的な原子力協力」と正当化。翌年には、関西電力大飯原発の再稼働を強行しました。

原発再稼働は、米側から「正しい、責任ある一歩だ」(米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)報告書、12年8月)と歓迎されました。CSISは日本に原発推進を求めた上で、こう付言しました。

「原子力は、エネルギー安全保障、経済成長、環境面の利点において巨大な潜在力がある」(つづく)

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