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見舞金も出ないとは・・地場産業に公的支援の拡充を

泥がついてしまった漆器の木地を手にする塚田康広さん(右)と宇野邦宏党県常任委員=7月30日、福井・鯖江市河和田にて
泥がついてしまった漆器の木地を手にする塚田康広さん(右)と宇野邦宏党県常任委員=7月30日、福井・鯖江市河和田にて

七月二十九日、福井豪雨による産業被害の掌握と対策を考える第一回産業関係被害連絡会が開かれ、集まった各商工会や業界団体が県に対し、現状を報告し要望を出しました。全体として「まだ生活の復旧に追われ、事業再開どころでない」といった状況で、被災事業所数も正確に把握できていません。

■越前漆器協同組合員の半数が被害

今回の被災で鯖江市河和田地区の漆器と今立町の和紙は業界全体への影響が特に懸念されます。

鯖江市河和田地区は「漆器の里」として千五百年の歴史を誇り、業務用漆器の製造販売で八割以上の全国シェアを占めます。街には漆塗りや卸業の事業所が集中。同連絡会で越前漆器協同組合は「組合員百九十八人の「うち半数が被害」と報告しました。

卸業を営む塚田康広さん(四九)は借りている倉庫の在庫、中間品などが濁流でさらわれました。「まさに泥棒です。被害額は二百万~三百万円ぐらいかな」不幸は重なります。「家主に『壊すから出て行って』と言われています。いま復旧作業しながら別のところを探しているんです」

塚田さんにはいまの制度では見舞金も出ません。「不況で売り上げは減り、借入金も残っています。なんとかならないかな。被害は同じように受けているんだから」と訴えます。

同組合は「河和田はもうダメ」といった風評被害を心配しています。

今立町大滝区は手すぎ和紙の生産高で日本一です。県和紙工業組合によると七十一軒の組合員のうち四十四軒が被害にあいました。

山下勝弘さん(五一)が営む山次製紙所は一八六八年(明治元年)創業。清流岡本川沿いにあり、身内七人で手すき和紙を作っています。今回の岡本川のはんらんで工場は床上約八十センチメートルの浸水。被害はパルプ、仕掛け品、モーター、ポンプなど金額にして百万円以上とのこと。川がまだ濁っているため通常の稼働に戻れません。

■被害の多くが自己負担に

工場横の自宅は床下浸水。一階の床板はすべて外され、消毒用の石灰がまかれていました。「今は二階で生活しています。最初は泥のにおいが気になりました」

トイレのくみ取り業者が来ました。「この前取ったばかりなのにまた泥でいっぱいですよ。これも自己負担ですよね」と山下さんはやりきれません。

「正常な稼働に戻っても盆休みの売り上げ減もあるから八月の支払いはきつい。町商工会に相談したら、すでに取引関係があるから早く受けられるだろうと国民金融公庫の緊急つなぎ融資を、いまある借入金とは別枠で受けることにしました。県の制度融資は時間的に間に合いませんよ。休業した売り上げ減をとり戻すため、返済開始は少なくとも一年据え置きが必要です」

前出の連絡会では無担保・無保証で緊急の長期融資、借入金の返済猶予、税金の減免、損保の査定緩和といった要望とあわせ、「とても融資だけでは立ち直れないという声がある」との報告も出ていました。

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