ふくしま復興共同センターが呼びかけた「原発ゼロ100万人署名」に取り組み住民過半数を突破した福島県北塩原村の小椋敏一村長に聞きました。
(福島県・野崎勇雄)
以前から核兵器や原発は恐ろしいと考えていましたが、東京電力福島第1原発の事故が起こって、脅威が現実のものになりました。
私たちは交流があった被災自治体を事故直後に訪問し、会津方面に避難してきた住民を支援しました。全国各地の自治体と結んでいるスクラム支援会議を通じて、協力も要請しています。
直接被害を受けたところだけでなく、広い範囲に影響が及ぶのが原発事故です。約100キロ離れたこの村も風評被害が深刻です。放射能汚染水の漏えいなどトラブルが問題になるたび、以前のような観光客のにぎわいが戻るのを妨げます。
福島原発事故で、裏磐梯高原の観光は大打撃です。観光客は事故前と比べて6〜7削も減り、児童・生徒の教育旅行は9割減、外国人も7割減です。いろいろな企画を立てるなど努力をしていますが、なかなか元の状況には戻りません。
今年度は、観光客の入り込み人数、とくに宿泊数で5万泊増をめどします。そのため村独自の事業として約7000万円の予算を組みました。
原発事故は一日も早く収束してほしい。そして原発を持たない国にしてほしいと思います。
「原発ゼロ署名」 住民過半数・・福島・北塩原村 3月開始、一気に
福島県を代表する観光地の裏磐梯高原がある北塩原村から、「原発ゼロ」の声が高々と上がりました。ふくしま復興共同センターが呼びかけた「原発ゼロ100万人署名」に取り組み、県内自治体のトップで住民半数を突破しました。(福島県・野崎勇雄)
桧原湖(ひばらこ)から標高200メートルほど下った大塩裏磐梯温泉。真っ先に署名した旅館の湯守の男性(58)は言います。
「お客さんから『そちらは、放射能の影響はないですか』とよく尋ねられます。回復するかと思うと汚染水問題で引いていく。原発がなければこんな思いはしなくてすむのに」
12年前に埼玉から移住、会員制民宿を営む夫妻は「小さい子ども連れのお客さんがまったく来ない。原発は必要ない」と語ります。
署名運動は3月から始まり、人口約3100人のうち1700人(54・8%)が応じました。
「これは大事な署名だ」と小椋敏一(おぐらとしいち)村長が妻とともに応じたのに続き、副村長、村職員、住民へと広がりました。観光客が激減して大打撃を受けた旅館や民宿の経営者も応じました。
原動力になったのは、日本共産党村議で民宿「山城屋」を経営する小椋元(おぐらもとし)さん(71)です。議会報告を毎回全戸に配ってきた経験から、軒並み訴えました。「まだ雪が深い時期で、民宿やペンションには留守もありましたが、断ったのは4~5軒だけ。どんな立場の人でもこたえてくれる」と語っています。