日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > 地震列島 全原発が危ない・・敦賀2号機直下に活断層

地震列島 全原発が危ない・・敦賀2号機直下に活断層

廃炉こそ地域活性化の道・・原発住民運動福井・嶺南センター代表委員の河内猛さんの話

敦賀原発2号機直下に活断層があることを、私たちは以前から指摘してきました。日本原電は活断層ではないといっていますが、専門家の調査で、そのような言い分は通らないことがはっきりしました。日本原電が断層を調査した専門家たちに抗議文を送ったということですが、とんでもないことです。

規制委員会は、活断層であることを認めましたが、なぜ2号機の運転をどうするかの決断をしなかったのでしょうか。

2号機は国の耐震審査指針から言っても廃炉が当然です。廃炉にしたら地元の経済がなりたたなくなるかのような宣伝がやられていますが、事実は逆です。廃炉を決断してこそ地域の雇用や経済の活性化の方策をだすことができます。

 

他の原発の敷地 再調査を・・地震による原発事故の危険性を長年訴えてきた立石雅昭・新潟大学名誉教授(地質学)の話

原子炉建屋の直下の断層が活断層であるということが、科学的に正当に評価されたものだと思います。

基準に照らして安全でないと判断したわけですから、本来ここに原子炉を建ててはならない場所であるはずです。その観点からすれば、原子力規制委員会はこの原発を稼働させる条件がないということを明確に言うべきであり、日本原電はそれを受け止めて廃炉を決断するという真摯な対応が求められていると思います。

今回、再調査で新しい断層が見つかったことの背景には、これまで安全神話にとらわれて調査不足を容認してきたことがあります。敦賀原発については、主断層と、敷地直下の規模の小さな断層との関係がはっきりしましたが、調査の面では偶然性にも助けられたと思います。全国の他の原発の敷地内の断層についても、そういう視点で改めて見直す必要があります。

ずさんな国の審査 示す

原子力規制委員会が5月22日、日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)2号機原子炉の直下に活断層があると認定した専門家チームの報告を了承しました。これまでの国の審査を覆しました。地震の巣といわれる日本列島で原発を動かす危険性を示すとともに、全原発の審査の見直しを迫るものです。
(原発取材班)

2号機直下を走るD−1破砕帯(断層)が活断層と認定される決め手となったのは、非常に活発に活動する活断層である浦底断層とD−1破砕帯の境界付近で掘削したトレンチ(溝)で新たに見つかったK断層です。

規制委の島崎邦彦委員長代理は「K断層が見つからなければ結論が変わったのではないか」と述べました。

専門家チームは、K断層が国の指針で活断層とみなす後期更新世(12万~13万年前)以降に活動した活断層だと認定。このK断層がD−1破砕帯と一連の構造であるため、D−1破砕帯は活断層であると評価しました。しかし日本原電は、K断層を積極的に調べようとしませんでした。島崎氏は、日本原電によるK断層の調査が「遅々として進まない状況だった」と苦言を呈しました。

規制委の専門家チームの求めで掘削されたトレンチで原子炉直下を走る破砕帯が活断層であることを示す証拠が初めて見つかったことは、これまでの電力会社の調査、国の審査がいかにずさんだったかを示しています。

稼働中の大飯も

規制委の専門家チームによる破砕帯調査が始まっている他の原発でも、同様の例が見つかっています。国内で唯一稼働中の関西電力大飯原発(福井県おおい町)は、調査した専門家の多くが、重要施設を横切る断層が活断層の可能性が高いとの見解を表明しています。ここでは、調査が進むに従って、関電が主張してきた破砕帯の位置さえはっきりしなくなっています。

東北電力東通原発(青森県東通村)は調査にあたった規制委の専門家チームが「活断層である」とする評価書案をすでに提示。他の専門家による会合を開く段階に来ています。

調査予定の北陸電力志賀原発(石川県志賀町)では1号機原子炉直下の断層が活断層の可能性が高いと指摘されているほか、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)と関電美浜原発(同美浜町)は、敷地近くの白木−丹生断層が活動した際に、敷地内の断層が引きずられて動く可能性が指摘されました。これら3カ所は電力会社の調査結果がまだ出ていません。

活断層の連動も

これらの原発にとどまらず、青森県の下北半島沖にある長さ84キロメートルの巨大活断層「大陸棚外縁断層」などの連動による影響が心配される六ヶ所村・使用済み核燃料再処理施設などの核燃料サイクル事業施設や建設中の電源開発大間原発(青森県大間町)、4基の原発の直下に活断層の疑いが浮上している東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)など、至る所で活断層の危険性が指摘されています。

さらに国や電力会社がこれまで過小評価してきた、複数の断層が連動する可能性について再検討が迫られている全国の原発も多数あります。中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)のように巨大地震の想定震源域にある原発もあります。

島崎委員長代理は、2号機直下に活断層があるとした敦賀原発について「これまで事故がなかったのは幸いと言うしかない」と述べていますが、これは敦賀原発に限ったことではありません。

敦賀原発の活断層をめぐる動き
1970年3月 敦賀原発1号機、国内初の商業用軽水炉として営業運転開始
1987年2月 敦賀原発2号機が営業運転を開始
2008年3月 日本原子力発電が敷地内の浦底断層を活断層と認める
2012年4月 原子力安全・保安院が現地調査。メンバーの専門家が活断層の可能性指摘
2012年9月 原子力規制委員会が発足
2012年12月 規制委の専門家チームが現地に。2号機直下に活断層の可能性で一致
2013年1月 専門家チーム、規制委に提出する評価書案を議論
2013年2月 原子力規制庁の名雪哲夫審議官(現山形大学教授)が、評価書案を公表前に原電に渡したことが発覚、更迭
2013年3月 原電が出席し、評価書案を議論。調査団以外の専門家からも意見聴取
2013年4月 原電と改めて議論
2013年5月 2号機直下に活断層があり、浦底断層と連動する恐れがあると報告

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です