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敦賀原発 活断層の結論・・原電が異常な抵抗

原子力規制委員会が原子炉建屋直下に活断層があると結論づけた敦賀原発(福井県敦賀市)2号機。敦賀原発を所有する日本原子力発電が、なりふりかまわない“抵抗”を続けています。

(松沼環)

前日の記者会見

日本原子力発電の敦賀原発敷地内破砕帯の評価についての会見。発表する木村仁取締役(左)と内外の専門家=5月21日、東京都内のホテル
日本原子力発電の敦賀原発敷地内破砕帯の評価についての会見。発表する木村仁取締役(左)と内外の専門家=5月21日、東京都内のホテル

規制委は5月22日、2号機原子炉建屋直下を通るD―1破砕帯(断層)を活断層と認定した専門家チームの報告書を了承。その前日、規制委から程近い都内ホテルである記者会見が行われました。

内外の研究者からなる二つのグループが、現時点までのデータに基づけば、D―1破砕帯は活断層とは断定できないと発表しました。

原電が、第三者によるレビューと称して、海外の二つのグループにD―1破砕帯の評価を委託したもの。一つはノルウェーのコンサルタント会社スキャンドパワー社のグループ。もう一つは放射性廃棄物の地層処分の研究者として知られるニール・チャップマン氏を中心にするグループ。発表は、この二つのグループの中間報告として行われました。

会見では、断定するには「さらなる調査が必要」としながらも、規制委の専門家グループで退けられた原電のこれまでの主張を追認した中身。発表された5ページの破砕帯評価の中間的なレビュー報告書には、新しいデータや指摘はありませんでした。

会見では、評価をおこなった研究者の原子力推進側との関係に関して質問が集中しました。実際、会見に出席したスキャンドパワー社のウッディ・エプシュタイン氏は、日本原子力学会のリスク専門部会の委員でもあります。広島大学の奥村晃史教授はIAEA(国際原子力機関)国際耐震安全センター科学委員会の委員で、いずれも原子力と深い関係があります。

原電が二つのグループにいくら支払ったかについて聞かれましたが、会見に出席した同社の木村仁取締役は金額を明らかにしませんでした。また、調査をおこなったというニュージーランドのGNSサイエンスのケルビン・ベリマン氏(地質学)は、敦賀原発の現地調査を1日しか行っていないことが明らかになりました。

日本原電敦賀原発(左が1号機、右が2号機)
日本原電敦賀原発(左が1号機、右が2号機)

一方、規制委の専門家チームが必要なデータを要求したのに対して、原電は十分にこたえてきませんでした。

同チームは、原電の提出したデータをもとに検討しましたが、データの質や量が不十分との指摘がしばしば。そのつど新たなデータを求めました。しかし、「調査中」などを理由になかなか充足されませんでした。

このため、専門家チームの藤本光一郎東京学芸大学准教授が「事業者側から出してくるデータはちょっと不完全なところがあって、ある程度のシナリオに沿ったデータだけがと言うと、ちょっと言い過ぎになるかもしれませんけど、そういうデータだけが出てきた」と指摘。規制委の島崎邦彦委員長代理も「(活断層との判断の重要な要素となった)K断層に関する調査は遅々として進まないという状況」と述べていました。

個人宛て抗議文

原電は、専門家チームがD―1破砕帯を活断層であると結論付けた15日、各専門家あてに「厳重抗議」と題する文書を規制庁に提出しました。科学的、客観的評価をおこなう専門家個人に抗議文を提出したことが批判されています。

規制委の更田豊志委員が「(有識者会合の)先生方に向けて抗議をするという形自身、科学的、技術的な態度を欠いている」と述べていました。

原電はこれまでも、公開質問状や要請書などを規制委に提出しています。しかし、中身は科学的根拠を示すのではなく、議事運営が「公平、公正さを欠く」など一方的に決めつけたものでした。

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