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南海トラフ地震 学校・病院事前移転を・・対策最終報告 国の財政援助必要に

内閣府の作業部会(主査・河田恵昭関西大教授)は5月28日、マグニチュード(M)9クラスの南海トラフ巨大地震対策の最終報告を発表しました。津波被害を避けるため、学校、病院など子どもや患者、高齢者ら災害弱者が集まる施設について「配置を見直す」として、高台など安全な場所への事前移転を提言。住民には食料などの備蓄を1週間分以上確保するよう求めました。政府は今年度中に対策大綱を決定します。移転などには、巨額の財政負担が生じますが、自治体からは国の補助が必要だという声があがっています。

13-05-29nankai 作業部会はこれまで、津波の高さは最大34メートルで、死者は約32万人、避難者は約950万人に達し、建物の倒壊や企業の生産活動低下による経済被害が220兆円を超えるとの推計を順次公表。最終報告はこうした想定を前提に、被害を最小化する「減災」策をまとめました。

津波は、地域によって数分で到達すると予測されています。子どもや入患者らは避難が間に合わない可能性があり、沿岸部の学校や病院などの医療施設について、事前移転の検討を自治体などに要請しました。移転が難しい場合は、近くの高台に通じる避難路の整備、周辺にある高層建築物の津波避難ビル指定などを代替策に挙げました。

住民に対しては、道路寸断など甚大な被害で地震直後の国、自治体による救援活動が遅れることを踏まえ、「地域で自活する備えが必要」と指摘。備蓄に関して「食料、飲料水、携帯電話の電池式充電器、カセットコンロ、災害用の簡易トイレなど1週間分以上確保する」との目安を示しました。

避難者対策では、避難所に入る優先順位を被災の程度に応じて判断するトリアージ(緊急度判定)の採用や、住宅の損傷が軽微なら在宅待機とする指針の策定を自治体に提案。避難所不足が予想されるため、入所者の抑制策を検討する必要があるとしました。

最終報告は、堤防や建物の耐震改修などは時間がかかるため、避難を中心としたソフト対策が重要と強調。いざという時に一人ひとりが迅速に行動できるよう、避難訓練、防災教育などの着実な取り組みを求めました。

南海トラフ巨大地震・・

静岡県沖の駿河湾から宮崎県沖の日向灘にかけて続く、南海トラフと呼ばれる海溝のプレート境界を震源とするマグニチュード(M)9クラスの地震。内閣府の被害想定は、東日本大震災を受け、あらゆる可能性を考慮に入れた最悪のケースで推計。

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