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南海トラフ巨大地震・報告 原発対策 言及なし・・内閣府担当 「議論しなかった」

南海トラフ巨大地震に関して内閣府の作業部会が5月28日まとめた最終報告では、原発事故への対策については一切言及されませんでした。

東日本大震災では、東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で地震の揺れと津波によって電源を失ったため複数の原子炉が同時に冷却できなくなり、大量の放射性物質を放出するという世界でも例のない原発事故を引き起こしました。この事故によって周辺住民をはじめ、多くの人たちがふるさとを離れざるを得なくなりました。いまも多数の人たちが避難生活を続けています。

南海トラフの巨大地震が発生すると、内閣府の想定でも中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)周辺の震度は7で、最大19メートルの高さの津波に襲われると想定されています。四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)をはじめ、ほかの原発でも地震の揺れや津波に襲われるとみられています。

しかし、最終報告には「東日本大震災では、福島第一原子力発電所事故や震災後に発生した台風第15号により(中略)被害が発生した」というくだりがあるものの、「南海トラフ巨大地震についても、複合災害として暴風、高潮、大雨、土砂災害、火山噴火等の発生を考慮し、対策を検討することが必要」としているだけで、対策の必要な項目にすらあげられていません。

内閣府の防災担当は、「原発事故は規制庁の担当であり、議論は一切しなかった」と説明しています。

「事前移転」に財政面の壁が

南海トラフ巨大地震対策の最終報告では、学校や病院の事前移転、避難所に入る被災者の優先順位を判定する基準(トリアージ)の導入などが検討課題として打ち出されました。移転には巨額の財政負担が伴うなど、自治体からは対応は厳しいとの声が出ています。

浜松市は、津波の際、屋上に避難できるよう、市内の公立小中学校の屋上に安全フェンスを設置しました。危機管理課は、高台など別の場所への移転について「国や県の補助がないと政令市でも容易ではない」と指摘します。
小中学校の多くが津波の想定浸水域内に位置する高知県黒潮町は、「国から補助が半分出たとしても、町財政では厳しい」(情報防災課)と話します。

予測難しい「前兆滑り」

南海トラフ沿いの巨大地震について、内閣府の調査部会(座長・山岡耕春名古屋大教授)は5月28日、プレート境界などの「前兆滑り」を2~3日前から数時間前までに観測し、地震が発生する日時や規模、地域を高い確率で予測することは困難とする報告書を公表しました。

南海トラフ地震の対策骨子
一、学校や医寮施設の配置を見直し、避難路、津波避難ビルを整備
一、食料や飲料水などの備蓄を1週間分以上確保
一、避難所に入る被災者の優先順位を判断するトリアージ(緊急度判定)を導入

1.住宅の損傷が軽微なら在宅でとどまるよう誘導し、避難者の発生を抑制
2.小中学校から防災教育を実施し、個人が災害を理解し判断する能力を養成

一、自治体は企業と連携し、物資を配送する車の確保や配送エリアの区割りを検討
一、企業は生産・サービス活動が低下しないよう、事業継続計画を策定
一、発生時期と規模の正確な予測は困難

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