2000年7月21日
日本共産党嶺南地区委員会
福井県知事 栗田幸雄 殿
産業廃棄物最終処分場(キンキクリーンセンター(株))へのゴミ持ち込みをただちに停止し、これ以上の増設は認めないよう申し入れます。
キンキクリーンセンター(株)(以下、業者という)は、一九八七年(昭和六二年)に営業を開始した、一期分(十万九千十八立方メートル)の産業廃棄物処分場が満杯になった後、一九九一年(平成三年)に第二期の処分場約十八万立方メートルを県に申請しました。
県は、一九九二年(平成四年)に反対する住民運動を考慮し、増設計画の約半分の八万八千九百八十立方メートルの許可を出しましたが、一九九四年(平成六年)にはそれも満杯になりました。しかし、業者は無許可で今日まで営業を続けてきました。
その結果、今日では増設許可の約九万立方メートルの約十三倍にあたるゴミが産業廃棄物処分場に持ち込まれていることが明らかになりました。
ところが、業者は、今後、終処分場を六十万立方メートル程度増設をし、五年間程度事業を継続すると発表。県は、この事業計画に対し、法律上キンキクリーンセンターが、水処理を行う義務があり、水処理を業者責任で行わせるためには、最小限の処分場の増設はやむを得ないとの考えから「五項目」の条件をだしてきました。
しかし、敦賀市民から日本共産党に対し「将来、汚染がひろがるのではないか」、「これ以上、ゴミの持ち込みをやめ、産業廃棄物処分場は閉鎖してほしい」などなど・・・の声がたくさんよせられており、私たちが聞き取り調査した中でも「増設賛成」は一人もいませんでした。
よって、条件をだして処分場の増設を認めて行こうとする県の態度は、違法な産業廃棄物処分場の増設を繰り返し行い、十三倍のゴミを持ち込んだ業者を擁護するもので、絶対認められません。
ついては、敦賀市民の健康、安全を守る立場から、次の諸点を申し入れるものです。
一、知事は「まず第一に地元の不安を解消するため現状についての安全性を確認し、最終処分場及び、周辺環境の監視体制の強化をはかって参りたい」(七月県議会・本会議)と述べています。
しかし、敦賀市長の知事への申し入れ、敦賀市議会の県への意見書でも、まず第一に、処分場へのゴミ持ち込みについて「直ちに搬入を停止し」、第二に「事業者が計画している増設については、許可を与えないこと」(敦賀市議会・六月二七日提出の意見書)と述べています。敦賀市民の考えは「搬入を停止し、増設は認めない」が圧倒的多数であることは明らかです。よって県は、業者に対して直ちに搬入を停止命令を出すとともに、増設許可は認めないこと。
一、矢田課長は、県に業者から二期目増設の話しがあった時、県は「地元同意を取るよう指導した」とし、さらに「法的根拠のない地元同意を業者に求めた経緯から、法律を盾にした搬入停止の命令は難しい」(七月県議会・委員会)と述べています。
しかしその当時、業者は、地元合意をとれなかったが、それには法的に強制力がないとして、県は増設の申請を法的に認めざるを得ないとして申請を認めていたのなら、「法律を盾にした搬入停止の命令は難しい」と言う県の言い分は理解できますが、業者は申請を出していません。だとするなら業者は、法律違反であり、無許可で次々と増設をしたということになります。
「廃棄物処理及び清掃に関する法律」(以下、「法」という)の第十五条の二の四、(変更の許可等)で、「廃棄物の埋めたて処分の場所の面積、容量を変更するときには知事の許可を得なければならない」となっており、違反した場合は、「法」十五条の三、(許可の取り消し等)で、「許可の取り消し、必要な改善、施設使用の停止を命じることができる」となっています。よって、法律違反は明らかであり、直ちに許可の取り消しなどの措置を講じること。
一、山元部長は、「要綱で定めた地元同意が『足かせ』となり、法的な手続きを業者にさせないまま違法状態(増設を繰り返したこと)を放置してしまった」、「行政処分で解決という方法もあるが、増設を認めることで違法状態を改めた上で、敦賀市の協力を得ながら、現実的な方法でこの問題を解決する」(七月県議会・委員会)と述べています。
そして、県は「五項目」の条件をだし、敦賀市の理解を得ようと業者とともに動いています。
「五項目」その①・・「期間は平成十六年三月三十一日までとし、埋め立てるゴミは三十万立方メートルとする」と述べています。
しかし、平成四年の増設の時、敦賀市の「対策協議会」が知事と敦賀市長に「公共が関与する廃棄物処理場の設置を目指すこと」など、四項目を求めましたが、一つも守られませんでした。さらに、業者はこれまで、県の指導要綱に基づく指導に従わず、違法なゴミ持ち込みを繰り返してきた業者であり、平成十六年で産業廃棄物最終処分場は終わりと言ってもまったく信用できません。よって、妥協策に応じることなく、直ちに搬入を停止し、増設は認めないこと。
②・・「水処理費用の確保の為、三年半の間に県の産業廃棄物処理公社に四億円を積み立てる」と述べています。
しかし、県は、これまでの搬入量を把握していないばかりか、業者の財務状況もつかんでいません(栗田環境審議官)。業者に配慮する立場から、情報公開もする気はなく、県のやり方はまったく不誠実で信用できません。
「法」第八条の五(維持管理積立金)で、閉鎖後の水処理費用の確保の為「維持管理積立金として積み立てなければならない」となっており、その積立は同2、3で「環境事業団が行い、積立金は環境事業団が管理する」と定められています。業者の言う「水処理のお金がないから事業の継続を」などと言うのはまったくのごまかしです。
県は、平成九年の改正「法」付則で、以前のゴミは、この「法」に適用されないと述べていますが、業者のゴミは「法」改正後持ち込まれたことは明らかであり、「法」の適用を受けるべきです。
平成九年の「法」改正の際、「法」第八条の五で、「許可を受けた者は、維持管理積立金を積み立てなければならない」と定めており、業者の法律違反は明らかであり、県がこれを守らない業者を放置してきたとするなら、県の責任は重大です。
このように、県は「法」第八条の二(許可基準等)に合致していない業者に許可を与えようとしているもので、「法」に明確に違反するものであり、断固認められません。
さらに、「法」第九条の二(許可の取り消し等)で、「知事は、その積み立てをしていないときは、許可を取り消し、施設の使用の停止を命ずることができる」となっており、その措置を講じること。
また、これまでの搬入量を把握し、すべての情報を公開するとともに、業者の財務状況も一円残らず明らかにし、県民に報告すること。
③「えん提の安全性の確認」について、知事は、「コンサルタント会社に依頼し、安全を確認したが、更に専門家からなる廃棄物処理施設設置適正管理検討会による確認をする」と述べています。
この場合一番心配となるのは、地震や洪水で「えん堤が崩れ、有害物質が含まれたゴミが、東郷地区内に流れ出すのではないか」と言うことです。
「コンサルタント会社に依頼し、安全を確認した」と言う「安全」の根拠を明らかにすること。
また、今後の調査の中で、処分場周辺の断層、活断層など地質の再調査や処分場内とその周辺のボーリング調査やトレンチ調査、弾性波探査を綿密に行い、総合的に「安全」を確認すること。
④これまで県は、「地下水などの検査で、差し当たり住民生活への危険性や支障はないと判断し、地元同意の取得のみの指導にとどまった」(栗田環境審議監)。しかし、今後は、「放流水、地下水検査の実施と公表、ダイオキシンの調査など強化する」と述べています。
敦賀市民の命の水を守る立場から当然の措置ですが、現在も処分場真下の木の芽川の護岸から、大量の汚水が噴き出しています。また、木の芽川から、国の環境基準を上回るダイオキシンが検出されており、そこから水源を得ている敦賀市民の不安は大変大きなものがあります。県の「住民生活への危険性や支障はない」などと言う根拠はまったくありません。
よって、監視体制を強化するとともに、その強化内容、結果を県民に報告すること。
現在も処分場真下の木の芽川の護岸から、大量の汚水が噴き出しています。また、北陸トンネルの処分場真下付近から時々汚水が出ています。県はこの汚水について「処分場との因果関係はない」と言っていますが、この根拠と汚水の原因を明らかにし、県民に報告すること。
さらに、環境基準を超えた、「ダイオキシン」類についても、発生源を明らかにし県民に報告すること。
⑤「苦情への対応」を強化すると述べています。県はこれまで、県民からどのような苦情がありどう対応してきたのか、また今後どう対応するのか具体的内容を県民の明らかにすること。
過去に「業者に苦情を言ったら、脅された」など県民は業者に対して、言い表しようのない不安を感じています。今後一切このようなことがないよう、業者に対する指導、監督を強化すること。
以上