日本原子力発電(原電)が茨城県東海村の東海第2原発で、新基準で再稼働のために義務付けされたフィルター付きベント(排気装置)と防潮堤の建設工事を開始した問題で、同村の村上達也村長が6月26日、原電の濱田康男社長あての抗議文を手渡しました。
工事は今月18日に始まりましたが、村上村長がその事実を知ったのは、原子力規制委員会から新規制基準が発表された19日になってからでした。
抗議文は「再稼働に向け、鍵となる重大な工事」を説明もないまま、一方的に着手したと指摘。「議論の余地、時間的余裕を与えないのは、きわめて校知(こうち)で、信頼関係を根底から損なう、きわめて陰湿な手法と言わざるを得ない」と断じています。
そのうえで、「原子力規制委員会が新基準を発表することになっていた前日に着工したことは何を意味するのか」と問いかけ、「貴社が窮地に立っているとしても、策を弄(ろう)して何が残るのか」と厳重に抗議。住民への説明を欠いたまま強行された二つの工事を中止するよう求めています。