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日本共産党敦賀市議員団(河内猛団長)は12月21日、敦賀市議会本会議に、水源の保全を目的にする「敦賀市水源保護条例」案を提出。
昨年のいっせい地方選挙で4議席へ躍進し、議案提出権を得た同議員団による初めての議案提出です。
この条例は、民間産業廃棄物処分業者による大量の不法投棄問題で、ダイオキシンの発生など水質汚染への不安が高まるなか「市民の命の水を守ってほしい」との声にこたえた提案です。
成立すれば市長が認めた水源保護地域での産廃業者などの操業を規制することが可能となります。
条例案は23の条文で構成、「市の水道に係る水源の汚濁を防止し市民の生命と健康を守る」ことを目的に、学識経験者などによる審議会の設置を義務づけているほか、市、市長、市民が協力し、目的を達成する責務を強調しています。
☆反対議員の質問、意見に対する答弁と解説を紹介します
決着済みの議論もちだし、「水源保護条例」案を否決
しかし同日「重要な条例」と大勢が認めたにもかかわらず「憲法上保障されている財産権の侵害になる」、「水源保護条例でなく、別の方向から攻めた方がよく、安易だ」(無所属議員)、「企業に我慢をしていただくのだからコンセンサスづくりが欠けている」(友愛クラブ議員)などの意見が出され、採決の結果、賛成少数で否決されました。(賛成は日本共産党議員団四人のみ)
以下、本会議で出された意見を紹介します。
「条例の制定は、事業者や市民の責務はもちろん、憲法上保障されている財産権の侵害になる」。(公明、市政会、友愛クラブの各議員より)
河内猛議員の答弁・・「水道に係る水源の汚濁を防止し、その保全を図り、もって市民の生命及び健康を守る」という「水道法」は「産廃法」と違って生存の自由を保障するという生存権に直接かかわる法律であり、その点から優先される。
【解説】・・この議論は歴史的に決着済みです。昭和三十年代から四十年代の高度成長期に、人類の生存を脅かす最たるものとして新潟水俣病、富山イタイイタイ病、四日市ぜん息などの公害が発生。これを引き起こしている事業活動を法に違反しているとし、損害賠償や事業活動の停止を求めた訴訟が全国で起こりました。
そんな中、川崎市など全国の自治体で公害を引き起こすおそれのある企業の私権を条例で規制し、憲法が保障する「国民の健康で文化的な生活の確保を図る」ことを目的に両者のバランスを取る条例が多数制定されました。それが後に公害対策基本法や環境基本法などの根拠となったのです。
ですから友愛クラブ議員も「河川水の大腸菌やBOD汚染が心配」とのべた上で「重要な条例」と認めたのです。また敦賀市は「木の芽川を汚染していると考えられる。観測井戸1、4号が汚染されている」(水環境調査・平成12年)と結論づけました。市民の共有財産である命の水を守る、「公共の福祉」のため企業の私権を制限する条例制定は、行政の当然の権利として認められているのです。
「水源保護条例でなく、別の方向から攻めた方がよく、安易だ」(無所属議員より)
【解説】・・国、県は「処分場は、現在の廃棄物処理法上の許可用件を満たすのであれば認める立場」(厚生省・室石課長補佐)です。
さらに廃棄物行政は国の法定受託事務なので、福井県が受託事務の中で施設を規制することなど委任されていません。
したがって、「水源保護条例」などは現在の法体系の不備を補う意味で、まさに「別の方向」からの規制なのです。
「事業を執行するための職員の確保。またその財源はどうするのか」(公明議員より)
河内猛議員の答弁・・執行するに当たっての職員の配置、財政の問題については、条例案がもしみなさん方のご賛同で採決されるということになれば、それは理事者の方で、執行に当たって細かい点について規則をつくるなど実効性を高めていく必要があると思う。
「議会の最終日になってなぜ突然条例を出してくるのか」(市政会議員)
「敦賀市でも水質保全条例の制定に向けてとり組んでいるのになぜ提案したのか」(無所属、友愛クラブ議員より)
河内猛議員の答弁・・前市長の時から水源保護条例を提起し、否定されてきたた経過がある。また、共産党は各派代表者会議で、今後超党派で条例制定に向けて、勉強会や懇談会を開いていくなら今回の条例案は提案しないと言ってきた。しかし議会最終日前になって否定されたので提案に至った。
【解説】・・市が検討しているのは水質保全条例(地下水保全)で、地下水の涵(かん)養、水質保全、揚水規制であり、産廃処理施設などの設置規制を目的としていないと聞いています。