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樫曲の民間産廃処分場問題で、処分場の安全性などを確認するため県が設置した「技術検討委員会」の検討結果報告(三月二十八日)と県の考えについて、私たち「市民の会」は十九日、県にたいして申し入れと公開質問状の提出を行いました。
山田礼次郎会長ら八人が県庁を訪れて、①違法搬入されたゴミの撤去②汚水の河川および地下水への流入防止対策③えん提の補強工事④処分業の取り消し、⑤調査資料の公開など七項目の要請書を提出しました。
応対した久保清行・県環境審議官、畠山是信・県廃棄物対策課長らは「違法ゴミの撤去はさらに調査したうえで検討する」として、安全上問題がなければ違法ゴミであっても撤去しない考えを表明。営業許可の取り消しは「あらゆる角度からみている。いま取り消すことが得策かどうか」などとのべました。
こうした発言に「ゴミ問題の解決は敦賀市民の悲願。あいまいな解決は認められない」「違法行為を続けた悪徳業者に何の処分もしないとは許されない」などと県の対応を批判しました。
県は「廃棄物行政」を全うし、業の取り消しとゴミ撤去を業者に要求すべき
違法搬入されたゴミ撤去について久保環境審議官は、「事実上、持っていく場所がなく撤去は無理。生活環境の安全上支障があるかどうかは、技術検討委員会で検討したい」という無責任な答弁を繰りかえしました。
しかし、たとえ安全性が確保されているとしても、不法投棄は法違反であり、業者に対して撤去を求めなければなりません。「「事実上、持っていく場所がない」などといって、事業者を養護する審議官の態度には、「事業者と癒着しているのでは」と疑いたくなります。
県は法にもとづき、まず事業者に撤去を求めるなど廃棄物行政をキチンと行うべきです。
住民の安全、健康を守るため緊急に対策を
次に、「『処分場の安全性の確認に必要な調査』と汚水の川への流入、および地下水への浸透を阻止する対策工事、えん提の補強対策工事などを講じること」につて審議官は、「技術検討委員会で必要とされた調査を事業者にやらせ、その結果、生活環境の安全上支障がある場合、対策を検討したい」と答弁。「では、いつまでにやらせるのか」と聞いても「わからない、言えない」を繰りかえすばかりです。
しかし、県は「検討委員会」の事務局としてこの数ヶ月間、議論に参加しているわけで、ここでもやる気のない県の対応が浮き彫りとなりました。
また私たちは、えん提について公的基準に照らしても「大規模地震動」を想定した対策が必要であることなど訴えました。
申し入れ全文
2001年 4月 19日
福井県敦賀市鉄輪町2-2-26
自然と環境を守る敦賀市民の会
会長 山田礼次郎
福井県知事 栗田幸雄 殿
樫曲の一般・産業廃棄物最終処分場について、
住民の不安を解消するよう求める申入書
敦賀市樫曲地区の一般・産業廃棄物最終処分場について安全性を確認するため県が設置した「県民間最終処分場技術検討委員会」は3月28日、「事業者から徴収した報告」と「処分場の視察結果」にもとづき、処分場のえん提の安全性、周辺環境の地下水と河川の汚染状況と安全性などの検討を行った結果を県に報告。県は4月9日、地元敦賀市議会および同市処分場問題対策協議会に説明を行いました。
その結果、えん提は現状では安全であること、ゴミ撤去は事実上できないこと、今後必要な調査や対策は事業者に行わせることを基本に指導するが、当面は住民の「生活環境保全上の支障が生じるおそれ」はないことなど、県の考えが明らかになりました。
しかし、私たち「市民の会」は、処分場の浸出液漏えいによる地下水汚染が半永久的に続くこと、えん提が崩れる危険があることなど「生活環境保全上の支障が生じるおそれ」があると判断し、ゴミの撤去や浸出液の漏水対策などの措置をとるよう県に求めてきました。他の市民団体、敦賀市議会も違法搬入分の撤去などを求めており、県の見解はとうてい容認できません。また、「技術検討委員会」の技術的検討についても疑義があります。
ついては、下記の点について申し入れるとともに、「技術検討委員会」の技術的検討と県の考えについて、別紙のとおり「公開質問状」を提出させていただきます。誠意あるご回答をお願いいたします。
記
- 違法に持ち込まれた廃棄物については、法にもとづき撤去するのが当然です。また、住民の生活環境の安全に重要な支障が生じていることは明らかであり、その除去のための対策について施工性、耐久性、経済性などを考慮してもゴミの撤去が妥当であると考えます。よって期限を切って、事業者に撤去を要求するとともに、事業者が責任を放棄した場合は、県が責任をもって行うこと。
- 「技術検討委員会」が求めた、えん提の安全確認のためのボーリング調査などや遮水シートの健全性確認のための地下水調査など、「処分場の安全性の確認に必要な調査」について緊急に実施すること。あわせて汚水の川への流入、および地下水への浸透を阻止する対策工事、えん提の補強対策工事などを講じること。
以上はゴミ撤去に至るまでの緊急措置で、これも実施期限を切って、事業者に要求するとともに、事業者が約束を守らない場合は、県が責任をもって行うこと。 - 営業許可の取り消しについて県は、事業者は、搬入停止の行政処分にしたがい、その後も水処理施設の運転を継続していることなど「あらゆる角度から判断」したとし、処分業の許可取り消しを先送りしています。
しかし、違法行為を重ねた事業者に対し、法にもとづいて処分業の許可を取り消すことは行政上当然の措置であり、施設の許可の取り消しとは別の問題です。したがって県は、処分業の許可取り消しを直ちに行うこと - 県は、「立ち入り調査によって、ゴミがむき出しになっており、雨が降れば浸透せずに場外に流れ出すおそれがある。早急に対処が必要なので、業者に対して行政指導を行った」と発表。さらに県は、その結果事業者は、「13メートル四方の素堀の枡に流れ落ちるようにし、その底に蛇腹の管を設置し、そこから集水ピットに汚水を導く措置をとった」と説明されました。
私たちに寄せられた情報によれば処分場の上部には、長さ約100メートル、幅数十メートルのシートを敷設された池が掘られているといいます。これは明らかに雨水が処分場内に浸透していかないように設置されたものであり、事実上侵出水漏えい対策だと考えられます。よって県はこれらの事実関係を明らかにし、公表すること。 - 処分場えん提やえん提下部のよう壁について、「道路土工─のり面工・斜面安定工指針」、「道路土工─擁壁工指針」にもとづけば、「大規模地震動を想定した対策」が必要です。えん堤の安全性、埋立てられた廃棄物の安定性について、大規模地震時をも十分考慮し、疑問の余地なく明かにすること。もしもこれが確実にならない場合には事業者に対し、十分な補強工事を実施させること。
- 昨年11月6日に事業者から提出された資料、およびその後調査し明らかになった事実、調査データ等についてはその都度、敦賀市民に公表すること。
特に、住民の安全に関わる事柄については、企業の機密などを盾にせず、情報公開を徹底すること。 - 行政代執行となれば、県民に負担がおよびます。水処理施設を差し押さえたといわれる団体「崇仁・協議会」と事業者との債務状況、また事業者の利益、蓄財の掌握をきちんと行うこと。
以上
●公開質問状の全文
2001年 4月 19日
福井県敦賀市鉄輪町2-2-26
自然と環境を守る敦賀市民の会
会長 山田礼次郎
福井県知事 栗田幸雄 殿
公開質問状
敦賀市樫曲の民間廃棄物最終処分場について、「県技術検討委員会」の検討結果と県の考えをお聞きします。
- えん堤の安全確認について
「えん堤の安全解析について」、「計算方法自体に問題はない」(1P、15行目)と書いた後で、「次の事項について考慮した計算が必要である」として、「滞流水」、「遮水シートのすべり」、「えん提の沈下」を「考慮した計算」が必要であると書かれています。
これは、業者の出してきた調査方法に基づく調査結果では、不十分であることを示しています。
「道路土工─のり面工・斜面安定工指針」は、日本道路協会が指針として出しているもので、主に道路の安全確保のために道路建設に伴う土木工事について書かれたものです。それによると、「斜面の安定は主としてのせん断抵抗と自重のバランスの上で保たれている」として「豪雨や地下水の浸透などによる地山強さの低下、および間隙水圧の増大、人工的な切土および盛土による自重とせん断抵抗のバランスの変化、地震による震動などによって、その安定が著しく乱される」ことによって斜面が崩壊に至るとしています。
したがって、ゴミと覆土の上に作られたえん提である斜面の「安定解析」を検討委員会が「滞流水」、「遮水シートのすべり」、「えん提の沈下」を「考慮した計算」が必要であるとし、それらにつての「検討条件」をも調査する必要があるとの結論を出したのは当然であると考えます。
質問①・・そもそもこの処分場の場合、ゴミの上にえん堤を築くという工法自体が適切かどうかの検討委員会の評価はありません。事業者は、ゴミの上に築き上げられたえん堤の安全性について調べる、指針や法的手法がないからこそ「道路土工─のり面工・斜面安定工指針」を適用せざるを得なかったのではないのですか。この点について検討委員会と県の考えをお聞きします。
質問②・・えん提の「安定解析」のため「滞留水位と土質定数およびそれらの分布状態を把握する必要があるため、機械ボーリングを基本とした調査を行う」ことが必要だといいます。しかし、ボーリング調査は、地面の中に細いパイプを打ち込みその中から地盤の資料を採取するとともにその堅さを測定するものであり、自然に出来た地層の調査をするもので、埋立地の調査には向かない。ましてや燃え穀や自動車を切断したシュレッダー屑など雑多な大量のゴミと僅かの土砂をサンドイッチ状に埋立てたところでこんな調査をやっても、安定性を見る上で意味のある結果は得られないと考えますが、検討委員会の具体的検討内容と県の考えをお聞きします。 - 地震規模の設定について 事業者の報告では、「『道路土工─のり面工・斜面安定工指針』に基づき、中規模地震動対応(設計水平震度0.1)としている」(2P7行目)とし、検討委員会では、「地震規模の設定については、詳細な地震調査等が必要であるとともに、他の公的基準も参考に十分に議論し決定する必要がある」と報告されています。
ここでの中規模地震動とは、「供用期間中に発生する確率が高い地震動を意味する」ことだと思います。
しかし、これも主に道路の安全確保のために道路建設に伴う土木工事について書かれたものです。それでも「道路土工─擁壁工指針」では地震時の安定検討における設計地震動の設定で、事故が起こり復旧が困難な場合で「きわめて重要な二次的災害のおそれのあるものについては大規模地震動対応」を行うと書かれています。ここで「重要」とは「万一崩壊すると隣接する施設等に重要な損害を与える場合」(同「指針」)という意味です。
質問③・・したがって、樫曲の処分場の場合、「重要な二次的災害のおそれ」があり、「大規模地震動」を想定した対策が必要であることは明らかで、「他の公的基準」を参考にするまでもなく、緊急に対策をとるべきと考えます。検討委員会の判断と県の考えをお聞きします。
※「大規模地震動」=「供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度をもつ激しい地震動を意味する」(「道路土工─擁壁工指針」) - 河川護岸のクラックについて 木の芽川護岸のクラックについて、「事業者の報告では、発生要因の把握は困難であり継続的な観測が必要であるとしている」(2P、17行目)という報告を基に、検討委員会では、「クラックの入り方から、発生要因の土圧(背後の土が押す圧力)による可能性もあるが、動いていないので安全性の観点からは、当面問題無い。今後も定期的な計測と監視を継続する必要がある」という結果を出しています。
質問④・・しかし、このえん提下部の木の芽川護岸こそ「道路土工─擁壁工指針」を適応し検討を加え、緊急に対策が必要と考えます。「安全性の観点からは、当面問題無い」とはどのような検討から出された結論なのかお聞きします。
次に、「道路土工─擁壁工指針」では、「安定に対する検討」の所で、「擁壁に作用する土圧などの外力に対して、擁壁の重量(断面)が不足している場合や、地盤の支持力が十分でない場合には・・・擁壁の滑動、転倒、沈下などが発生し、はなはだしい場合には擁壁が倒壊することもある。また擁壁自体は滑動や支持地盤の支持力について安定であっても、支持地盤の内部に軟弱な層が存在したり、斜面上に擁壁を設置する場合には、擁壁を含む広い範囲にわたって沈下やすべり破壊を生じることがある。」
「したがって、擁壁の安定に関しては、一般に滑動に対する安定、転倒に対する安定、支持地盤の支持力に対する安定、について検討すればよいが、支持地盤の内部に軟弱な層が存在したり、斜面上に擁壁を設置する場合には背面盛土および支持地盤を含む全体としての安定について円弧すべり法などにより検討を行ない、必要に応じて対策工を検討するのがよい。」
「また必要に応じて地震時における影響を考慮した安定性についても別途検討することとする」ことと書かれています。
さらに、「地形、地質、土質に関する調査、検討」(同「指針」)も必要で、「擁壁の構造形式や基礎形式は、設置される位置の地形、地質および土質の影響を大きく受ける。また、用いられる裏込め材料や補強土壁の盛土材の良否が構造物の安定性に関与したり、地形・地質が施工の難易度にも影響を及ぼす。したがって、地形、地質、土質に関する調査として次の事項について検討しなければならない。」とし、「①表層の性状および傾斜など②支持地盤の位置や傾斜、支持力および背面の盛土荷重による地盤の安定など③盛土、裏込め土の性質(土の分類、単位体積重量、せん断抵抗角など)④地盤の変形特性(圧密沈下,地震時の液状化など)⑤地下水の有無、水位、湧水の位置と水量および凍上の有無など」の検討が必要と書いています。
質問⑤・・この木の芽川の護岸は、長期に渡って処分場からの浸出水が漏れだしているという多くの科学者の指摘があり、護岸(擁壁)の裏側は大量の水が滞水していると考えられ、その圧力が護岸にクラックを生じさせていると考えるのが常識です。何者かが護岸に直径10センチほどの水抜き穴を何本もあけたのもそのせいです。 検討委員会では、以上のような点についてどのような検討をされてきたかお聞きします。 - 遮水シートの 敷設状況について 遮水シートの 敷設状況について、「事業者から報告された遮水シートの敷設面積計算結果については、遮水シートの敷設範囲が、立入検査において確認した範囲と合致しないことから、報告内容を県において一部補正して、再計算を行った。」(2P、31行目)その結果、「遮水シートの使用実績と補正した敷設面積計算結果を比較すると、前者が後者を上回っている。」と書かれています。また、「施設の立入検査結果に加え、設置届出(H4)等の既存資料、聞き取り調査等に基づき、検証を行った」としています。
質問⑥・・このことは、遮水シートが必要な分だけ施工されていると判断したと思いますが、検討委員会としてどのように検証を行ったのかお聞きします。
また、「前者が後者を上回っている」、「処分場の上部の黙視で確認できる範囲においては、遮水シートが圧着によりつなぎ合わされ敷設されているのが確認された」というだけでは、遮水シートが施設内にもれなく施工され、その役割を果たしているという保証には成り得ず、検討委員会として遮水シートの健全性をどのようにして判断していくのかお聞きします。
さらに、検証方法につては、ある程度ゴミを取り除いて目視で確認する方法、ボーリングを行う方法、弾性波探査試験などがありますが、どのような方法が適当と考えるかお聞きします。 - 周辺地下水等の水質検査結果について 周辺地下水等の水質検査結果について、「事業者から報告された周辺地下水および河川水の自主検査結果については、大腸菌群数を除き環境基準を超えた項目はない。」(2P、最下位の行)と書かれています。
また、「地下水③(別紙地図参照)については、処分場の影響を反映しやすいと考えられる塩化物イオン、硬度(カルシウム・マグネシウム等)等の測定値が周辺の他の井戸のものと比較して高い傾向が見られることから、その原因について調査する必要がある。」
さらに、「過去に県が実施した北陸トンネル内の漏水、木の芽川護岸排出水、えん堤下部排出水の水質検査結果は、周辺の一般的な地下水質と比較して、塩化物イオン、ナトリウムイオン等の測定値が高くなっていることから、その原因を明らかにする必要がある。」と書かれています。
質問⑦・・これは、これまでも再三指摘されてきましたが、県廃棄物対策課は「処分場の浸出水と木の芽川護岸からの排出水との間に因果関係は認められない」との結論を出してきました。この見解について、検討委員会ではどのような検討がなされてきたのかお聞きします。
次に、私たちが依頼した専門の科学者の見解ですが、「どうして因果関係がハッキリしないと済ましているのか実に不思議」とのこと。
元通産省地質調査所の主任研究官の坂巻幸雄先生や元大阪工大講師の木原敏先生の指摘では、「処分場から出ている水は、明らかに処分場のゴミの中を通ってくることによって、汚染された水が、川に出ているということは、明々白々。」、それから「トンネルの中の汚水もビデオの映像や汚水の分析結果をなどから、これも明らかに処分場による汚れである。」とハッキリ指摘しています。
具体的な問題で指摘しておられるのは、電気伝導度と塩素イオンです。
まずは電気伝導度です。これは水の電気の通し安さですが、蒸留水では電気はほとんど通らない。海水は電気をよく通す。中に入っているイオンの量によって、電気の通り安さが変わることを利用しています。ほぼ汚れの多い水の方ほど、電気を通しやすいという性質があります。 それを木の芽川の上流から測定すると、まず池河内から下りてくる沢の上に安定型の処分場があり、あそこから出ている河川水が少し汚れています。それは量的には少ない。しかし問題の樫曲処分場の大きな土手を築いた下、えん堤と木の芽川護岸からは、かなり質の悪い水がしみ込んで出てきています。
これは石垣に設置された排水管を通って出てくるものもありますし、目に見える形ではなくて、川の中にわき出しているものもあります。
そのために、処分場えん堤から下流の川の電気伝導度がかなり上昇し、水質がさらに悪くなります。そしてそれが下流に行くにしたがって、樫曲の部落を通り、中池見からの水が入り、相対的にきれいな水にだんだん薄められてくる。しかし処分場上流側の獺河内辺りのきれいな水には戻らないまま、少なくとも北陸線の鉄橋のところまできているということがはっきり分かっています。
したがって、因果関係が、その処分場からの水で汚れているということは常識的に判断できます。
もう一つ処分場からの汚染だとはっきり言える要素があります。それは侵出水の中に多く含まれる塩素イオンです。
これはいろいろな食品、工場製品、それに含まれている塩素が焼却することによって容易に水に溶けるような形で焼却残さの中に入っているからです。
処分場を通ってきた浸出水の塩素イオン濃度が、顕著に上がる。電気伝導度だけだと、例えば温泉水が入ってきたら上がるのではないのかという議論があります。確かにそれは事実ですが、ただ温泉水の中で、塩素イオンを非常に多く含む温泉水というのはごく限られています。
典型的なのは、海辺の水で海水が入って温められている温泉。これはもちろん塩素濃度が高く、内陸でも、花こう岩地帯、広い堆積岩が上に分布している地帯など砂岩や泥岩のような中から出てきている温泉で塩素が高い。
したがって、温泉の影響があるのではないか。という話もあるようですが、敦賀市のトンネル温泉の水質分析表を見るとこれには塩素がほとんど含まれていません。温泉水の影響で塩素が高いというのではないということは明白です。
質問⑧・・そこでお聞きしますが、河川とえん提下部の排出水の電気伝導度と塩素イオン濃度が高い問題について、検討委員会として上記のような検討はなされたのか、したのであればその内容、していないのであれば、何故しないのかお聞きします。
質問⑨・・次に行政が取るべき態度について、検討委員会の見解をお聞きします。
坂巻、木原両先生は、行政が取るべき態度についても、「どこの地方自治体でも同じ傾向があるが、今までの色々な環境基準、例えば下水道の水質基準。河川の水質基準というようなものを照らして、今のところは問題になる数字が出ていないのだから、汚水がたとえ入っていようが、それは問題はないという立場をとられる自治体は非常に多い。」と強調。最近のゴミ問題は、「環境ホルモン問題、ダイオキシン問題についても、今から10年、15年前は、それが有害なものであるということすらも一般に認識もなかった。そういう面から見れば、特に公衆衛生のいろいろな技術的な安全性の問題は、法律が後追いをしている」とし、例えば「法律を守っていたから、市民の健康が守れるかというと決してそういうことにはならない。むしろ法的な基準は一応クリアしていたが、それを容認することによって、これから先どういう問題が起こってくるのかということを少し先見性を持って施策を進めていかなければならない。」と指摘されています。
さらに、特に心配される問題として、トンネルの中の水漏れについて「これは木の芽川護岸など表の漏水だけではなくて、地下水汚染が始まっているということを示している、いったん地下水系が汚染されると、その回復は難しい。汚染の回復はできないという事態が、最悪の場合起こり得る。そうなれば次の世代、更に次の世代に渡って、その一帯の地下水が利用できなくなる。今の現状を鵜呑みにすることによって、将来に渡る行政の責任を果たせるのかという問題が現実の問題としてあります。これは法律上の問題ではありません。」と指摘しています。こうした見解は、専門家の中では常識で、検討委員会としても当然検討がなされたと思いますが、検討の結果をお聞きします。 - 浸出液処理施設について
質問⑩・・浸出液処理施設について「事業者から報告された浸出液原水の自主検査結果においては、排出基準が定められている有害物質は基準値以下である。」(3P、12行目)と書かれています。
この場合、排水基準が定められていない有害物質は検出されたのか、検出されていればその種類と量はどれくらいかお聞きします。
次に「処分場の埋立地集水面積から算定される1日当たりの平均処理水量は、約147立方メートルで」、「事業者からの聞き取りでは、1日当たりの平均処理水量は約50立方メートルとなっている。」その結果「算定された浸出液量との間には差があるが、浸出液量の算定に用いた浸透率(降雨量に対する浸出量の比率)が本処分場の実態に即したものであるか等について十分検討する必要がある。」と書かれています。
そこで2点お聞きします。
質問⑪・・まず、事業者から敦賀市に提出された平成4年5月21日付けの「一般・産業廃棄物処理施設設置の変更に当たっての事前協議願」に添付された「埋め立て処分計画の写し」によれば、「敦賀測候所資料により過去16.25年間の月雨量データを基に計算を行った結果一回の浸出液量は平均48.49立方メートル/日、最大で145.31立方メートル/日となり、既存する汚水処理施設の処理能力は、廃棄物に含まれる水分を考慮し、150立方メートル/日であり十分対応できる施設である」と書かれています。
検討委員会の事業者からの聞き取り調査では「1日当たりの平均処理水量は約50立方メートル」と言われていますが、この添付資料では処理能力は「150立方メートル/日」と書かれています。この差について検討委員会としても掌握さていると思います。この差は経年劣化による処理能力の低下など考えられますが、検討委員会としてはどのように考えているのかお聞きします。
質問⑫・・次に、「算定された浸出液量との間の差」ついて、「本処分場の実態に即したものであるか等について十分検討する必要がある」のは当然ですが、「差」につて「147」-「50」=97で約97立方メートル/日が、遮水シートから漏れだしていると考えるのが当然と考えられますが、検討委員会ではどのように検討されたのかお聞きします。 - 維持管理の留意事項について、露出している廃棄物の飛散および流出ならびに悪臭の発散防止につてお聞きします。
質問⑬・・「露出している廃棄物の被覆については、・・・・現況えん提の斜面安定に対する影響や、経済性、施工性、適度の通気通水性、耐久性等について考慮すると、応急的な覆土を行うことが望ましい」(3P、26行目)と書かれています。
しかし、現状で一番心配されるのは、廃棄物の飛散による有害物質の拡散であると考えます。現に質量の軽いビニール、焼却残さ、紙、細かいシュレッダーダストなどは周辺環境に飛び散っていますし、山頂からは廃棄物特有の異臭が漂っています。早急に覆土などが必要と考えますが、検討委員会の検討内容と「応急的」でなく緊急にやるべき対策についてお聞きします。
質問⑭・・「廃棄物が露出している法面からの浸出液や露出している廃棄物に接触した可能性のある雨水等の場外流出防止について、事業者は、県の行政指導を受けて、処分場内に浸出液や表流水を集める素堀りの枡を設置し、流出した浸出液等を集水管を通じて、集水ピットへと導く措置を講じた」(3P、34行目)と書かれています。
県はこの件について、事業者は、「13メートル四方の素堀の枡に流れ落ちるようにし、その底に蛇腹の管を設置し、そこから集水ピットに汚水を導く措置をとった」(4月9日、敦賀市処分場問題対策協議会にて)と説明されました。私たちに寄せられた情報によれば処分場の上部には、長さ約100メートル、幅数十メートルのシートを敷設された池が掘られているといいます。これは明らかに雨水が処分場内に浸透していかないように設置されたものであり、事実上侵出水漏えい対策だと考えられます。検討委員会ではどのように判断し検討されたのかお聞きします。また、県の考えもお聞きします。
以上の事柄について、5月18日までに文書で回答されるよう要請いたします。
以上