元東京電力の技術者で福島第1原発の原子炉の運転設計管理者だった木村俊雄さんは7月10日、東電に対し、同原発事故の評価に欠かせないデータの開示を求める質問状を送付し、東京都千代田区の日本プレスセンタービルで記者会見しました。
東電は昨年6月発表した事故調査委員会最終報告書で、事故は津波によるもので、地震そのものでは原発施設は損傷していないとしています。
会見で木村さんは、地震によって炉心溶融につながる配管の破断などが起きたかどうかなど原子炉の状況を評価するために必要なデータが開示されていないと指摘。少なくとも、①原子炉出力②炉心流量および循環系データ③原子炉圧力④原子炉水位⑤原子炉温度⑥給水系データ⑦主蒸気計データ⑧格納容器圧力−を同一時間軸上に並べて追跡する必要があるのに、東電はこれらを全面開示していないとのべました。
木村さんは、「東電は全データを国民にわかりやすく包み隠さず伝えるべきだ。事故の状況の把握さえできず、対策も立てられないのに再稼働なんておかしい」と強調。東電への質問状では、事故評価に必要なデータを開示してこなかった理由や、いつ開示するのかをただしています。
会見には、元東芝原子力プラント設計技術者、後藤政志さんが同席しました。
「東電はデータを開示すべきだ」とのべる木村さん(右)。左は後藤さん=10日、東京都千代田区