東京電力は7月10日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の海側観測用井戸で9日に採取した地下水から、放射性物質のセシウム134を1リットル当たり1万1000ベクレル、セシウム137を同2万2000ベクレル検出したと発表しました。この井戸では8日に採取した地下水からセシウム134を同9000ベクレル、セシウム137を同1万8000ベクレル検出していましたが、さらに濃度が上昇しました。
同原発の海側では、1号機と2号機の間に設置した井戸で5月24日に採取した地下水から高濃度のストロンチウム90やトリチウム(3重水素)が検出されたため、東電は周囲に新たに井戸を設置して地下水の分析をしています。
高濃度のセシウムを検出した井戸は、最初に高濃度のストロンチウム90、トリチウムが検出された井戸の南側に掘られた井戸です。9日に採取した地下水からは、放射性ストロンチウムなど、ベータ線を出す放射性物質(全ベータ)も1リットル当たり90万ベクレルと、これまでと同様、高い値を検出しました。
これらの井戸は、一昨年(2011年)4月に高濃度放射能汚染水が海へ流出した場所の近くです。東電は、地下水から高濃度の放射性物質を検出している原因について、そのとき地中に残ったものが地下水に拡散していると推定。当初、セシウムの濃度が比較的低かったのは「土壌に吸着されたため」と説明していました。
しかし、この場所につながる地下のトンネルには高濃度の放射能汚染水が残っていると考えられており、放射能汚染水が海へ流出している疑いが強まっています。
東電は8日からようやく護岸の地盤改良工事を始めました。