公開シンポジウム「3・11後の科学と社会福島から考える」が7月13日、福島市で開かれました。日本学術会議第一部(人文科学分野)が主催し、福島大学うつくしまふくしま未来支援センターが共催。全国から研究者ら160人が参加しました。
島薗進氏(上智大教授、哲学)は、低線量被ばくについての楽観的なリスク評価を広げた研究者の存在とそれへの学術会議の対応を問いました。丹波史紀氏(福島大准教授、社会福祉学)は「事故からまだ2年しかたっていないのに、福島の現状が伝わっていない」とのべ、被災者が政府・法の枠組みを超えて広範囲であることなど、自然災害の想定だけでは解決しない諸課題を指摘しました。
広渡清吾氏(同会議前会長、専修大教授、法学)は、日本社会がどうしたら脱原子力を実現できるかの学際的研究(脱原子力学)が必要だと指摘。「科学者は知識を提供するだけでは責任を果たせない。市民に共感し、対話し、ともに解決を構想する力が求められている」と話しました。
舩橋晴俊氏(法政大教授、環境社会学)は「原子力複合体」(原子力村)が原発事故を招いた背景にあり、それを許さないため「異なる学説を有する研究者たちが一堂に会し、開かれた場での議論を」と提起しました。
小山良太氏(福高大准教授、農業経済学)は、風評被害が放射線検査態勢の不備から構造的におきているとし、法的整備や検査の体系化を提案し、復興のための一元的な研究機関の設置が必要だと強調しました。