経済産業省は、原発の安全性を検証する新たなワーキンググループ(WG)の設置を決め、7月17日に初会合を開きます。WGのメンバーには、原発マネーを受け取っている研究者が含まれ、電力会社や原発メーカーもオブザーバーとして参加するだけに、その論議のゆくえが注目されます。
きょう初会合
(写真)経済産業省
この新組織は、経産省の総合資源エネルギー調査会のもとに設置される「原子力の自主的安全性向上に関するワーキンググループ」。
5月の訪米時に、原子力規制委員会が安全性を確認した原発の運転再開を進める考えを示した茂木敏充経産相が、「規制委とは別に電力会社が中心となって、原発の安全性を検証したり、トラブルの対応策などをまとめたりする新組織の設立を検討する」と表明していたもの。
委員2人“恩恵”
経産省によると、座長には製品評価技術基盤機構の安井至理事長が就任、10人の委員が予定されています。
委員のうち、判明しているだけで2人が、原発マネーの“恩恵”を受けています。
規制委で原発の新たな安全基準づくりを担当する検討チームに加わった山口彰・大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻教授は、日本原子力発電(日本原電)や原発メーカーの三菱重工、原発利益共同体の中核組織「日本原子力産業協会」などから報酬や寄付、共同研究費として1300万円以上を受け取っています。
茨城県の原子力安全対策委員会のメンバーでもある関村直人・東大大学院工学系研究科原子力国際専攻教授は、三菱重工や日本核燃料開発などから計294万円の原発マネーがあります。
電力会社も参加
オブザーバーに電力会社や原発メーカーも加わって、「安全性の向上」が図れるのか―。
安倍政権・自民党は「国が責任を持って、安全と判断された原発の再稼働については、地元自治体の理解が得られるよう最大限の努力をする」と原発再稼働に前のめりです。新組織が、原発再稼働に向けた地元の同意獲得の後押しをするためのものとなる可能性が濃厚です。