原発再稼働を許すかどうかは参院選の重大争点です。事故収束にほど遠い福島の実態に立って、安倍自公政権の強引な推進路線にストップをかけ、国民多数の声を実現するには日本共産党の躍進以外にありません。
地下水 収束どころか汚染拡大
1日400トンも増え続ける汚染水問題を抱える東京電力福島第1原発で新たな問題が発生しています。同原発の海側にある観測井戸の地下水から高濃度の放射性物質の検出が続いていることです。
7月9日には、3日前に1リットルあたり309ベクレルだった2号機海側の井戸地下水の放射性物質が、過去最高の同2万7000ベクレルを検出。3日間で約90倍に跳ね上がりました。
12日には、今まで放射性物質を検出していなかった南端の井戸の地下水から、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質を1リットルあたり1400ベクレル検出しました。
井戸地下水の放射性物質の濃度は日を追って高くなり、その範囲も拡大しています。
東電は、原発事故直後に海に流出した時の汚染水が地中に残り、拡散したと説明していますが、現在も汚染水の漏えいが続いている可能性があります。原因も実態も不明の事態に、原子力規制委員会は汚染された地下水が海へ流出していることが「強く疑われる」として、近く原因究明に乗り出します。
原発事故は収束どころか、危機的状況にあることを示しています。
被害者 復興どころか続く苦悩
今も続く福島県7町村の自治体機能ごとの避難、総計15万人の避難者、生(なり)業(わい)の喪失、家族の分断―。原発事故被害者の苦境が続いています。
帰還困難区域に再編された福島県浪江町小丸地区の16日午前8時50分の空間放射線量は1時間あたり20・416マイクロシーベルト。年間換算107ミリシーベルトで、政府が避難指示の基準としている年20ミリシーベルトの5倍を超えます。
被害者の家や土地などの財産への賠償が始まりましたが、到底生活を再スタートできる水準ではありません。
「われわれから希望を奪った原発。それを再稼働するのか」―被害者から怒りの声が出ています。
「全てのものが崩壊させられた。原発に安全・安心はない。再稼働はおかしい」(馬場有・浪江町長)、「被害の現実を見ていない。再稼働は被災地としていえばとんでもない」(古川道郎・川俣町長)と、本紙にも福島県の首長から怒りの声が寄せられています。
国民過半数は「反対」
「再稼働に反対」56%、「賛成」28%(「朝日」調査)―。15日に各マスコミの世論調査が報じられました。設問が、「政府が安全性は確認されたとした原発の再稼働」という前提のものも含めて、全て「反対」が過半数を占めました。
安倍政権が再稼働に前のめりになる中、規制委員会が“再稼働先にありき”の新規制基準をつくり、その施行(8日)以降電力4社が計12基の再稼働を申請。東京電力も柏崎刈羽原発再稼働申請の意向を示しています。ここに国民の厳しい視線が示されています。
推進・容認の各党
自民党は参院選公約で再稼働について「最大限の努力をする」とし、一気に再稼働をすすめようとしています。
民主党は、政権時代に大飯原発を再稼働させ、今回の選挙でも安全確認を得た原発の再稼働を公約として掲げています。公明、維新、みんな各党も「新基準に適合」を条件に再稼働を容認する立場です。
「原発即時ゼロ。直ちに廃炉プロセスに入る」ことを掲げ、各地で原発反対運動を行ってきた日本共産党の躍進があってこそ再稼働にストップがかけられます。