東京電力福島第1原発事故による避難生活で精神的苦痛を受けたとして、山形県内に避難している227人が7月23日、東京電力と国に対し、慰謝料を求め山形地方裁判所に集団提訴しました。
原発事故被害者救済山形弁護団(安部敏弁護団長)は、原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)では精神的苦痛に対する慰謝料は認められていないなど、限界があるため訴訟を起こしたとしています。
訴状によると、東電は地震や津波によって全電源喪失により炉心損傷等に至る危険があることを知っていたにもかかわらず、改善をしてこなかった過失責任は明確であると指摘。国については、東電の不備を知りながら放置したこと、防災計画策定の義務を怠ったなどの法的責任があると指摘しています。
提訴したのは62世帯227人。内訳は避難区域内避難者8世帯26人、避難区域外避難者(自主避難者)54世帯201人で、請求額は慰謝料24億9700万円です。
今回の提訴は、精神的苦痛が損害の中心的なものとして慰謝料だけにしていますが、物財損害についても今後追加する予定です。
同日、新潟県の原告団101世帯354人も総額38億9400万円を求めて新潟地裁に提訴しました。9月には群馬県の原告団が前橋地裁に提訴の予定です。
山形弁護団の外塚功弁護士の話 根拠のない「安全神話」を掲げて原発を推進してきた国及び東電の責任を問う訴訟です。原発事故後、福島県民や避難生活者が葛藤(かっとう)し、苦しみながら生活していることを裁判で明らかにし、現在も終わりの見えない原発事故の被害が少しでも救済されることを期待するものです。