原子力規制委員会の田中俊一委員長は7月24日の記者会見で、新規制基準への適合性審査で、審査を保留した北海道電力泊原発1、2号機(北海道泊村)について、同社が申請書に、システムの違う原子炉の解析結果を流用したことは″替え玉受験″のようなもので、「審査のしようがない」と批判しました。
「電力各社は急場しのぎで申請書を出しているのでは」と問われた田中氏は「(新基準に)合格点に達しなければ、認めるわけにはいかない。(泊1、2号機の『審査保留』は)第1回目の判断として出たということ」と指摘。「いいかげんでも何とかしのげると思っても、今度の規制委は『甘ちゃんじゃないですよ』と認識をしていただく必要がある」と述べました。
しかし、今回の電力会社がいいかげんな申請をしているのは、規制委が関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について新基準への適合状況を審査した際、新基準が求める対策さえ厳しく求めず、代替対策で「要件を満たす」などと容認したことと無関係ではありません。
田中氏の指摘は当然としても、自ら招いた責任を自覚していないことには驚かざるを得ません。
再処理施設も過酷事故対策義務付け・・規制委 新基準の骨子案
原子力規制委員会は7月24日、核燃料再処理施設など商用原発以外の原子力施設にも過酷事故対策を新たに義務付ける新規制基準の骨子案をまとめました。25日から8月15日まで一般から意見を募集。新基準の条文案を作成し、12月18日までに公布、施行します。
新基準の対象は再処理施設のほか、核燃料加工施設、試験研究用原子炉、燃料貯蔵施設、放射性廃棄物の埋設・管理施設など。
このうち再処理施設と加工施設については商用原発の新基準と同様、想定を超えた自然災害やテロなどによる臨界事故や水素爆発などの重大事故の対策を要求。外部への放射性物質の放出防止、抑制策を義務付けます。