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玄海に、新ハコモノ・・自治体縛る原発マネー

九州電力が玄海原発を置く佐賀県玄海町に、国の原発関連交付金「原発マネー」を主な財源とした“ハコモノ”施設が新たに開設されました。自治体を原発マネーで縛り付け、原発再稼働をすすめたい思惑が透けて見えます。(中川亮)

左が玄海原発1、2号機。右が玄海町と九電が整備した次世代エネルギーパーク=佐賀県玄海町
左が玄海原発1、2号機。右が玄海町と九電が整備した次世代エネルギーパーク=佐賀県玄海町

佐賀

九電の玄海原発広報施設「玄海エネルギーパーク」に隣接する「次世代エネルギーパーク」が7月20日オープンしました。太陽光や風力など再生可能エネルギーによる発電の仕組みを紹介する施設のほか、バーベキュー広場や野外コンサート場もあります。敷地約3・4万平方メートルの3分の2が九電、残りは町有地です。

歳入の6割

町は施設整備などに15・3億円をつぎ込みました。そのうち原発マネーは10・1億円と7割近くを占め、残り5・2億円は一般財源からの持ち出しです。町の年間の歳入約63億円に占める原発マネーは、九電の固定資産税も含めると、6割にのぼります。

九電が整備したのは遊具の並ぶ公園です。電気料金で賄う事業費について九電は「契約企業との関係で公表を差し控えたい」(広報担当)と金額を明かしません。

次世代パークの年間運営費は約1・1億円ですが、初年度の収入見込みは約2000万円にすぎません。赤字分の約9000万円は、町が運営会社である九電子会社の九電産業へ「委託料」として補てんします。来年度以降の収支も「年度ごとに異なる」(町担当者)として安定する見通しはなく、赤字・税金投入が続く恐れがあります。

「赤字続きの温泉施設パレアの二の舞いになる」−。日本共産党の藤浦皓町議は、次世代パーク運営費への町税投入による財政悪化を懸念しています。パレアは建設費17・3億円の6割に原発マネーを充て03年に完成しましたが、毎年度の赤字約3000万円を町税で穴埋めしています。

町道整備にも原発マネーが流れています。唐津市と接する藤平地域と長倉地域を結ぶ橋梁(きょうりょう)建設・道路改修工事計画は、地元で「交通量も少ないので必要ない」との声も出ています。もともと、唐津市内を通る西九州自動車道に直結させる構想ですが、市側に道路整備計画はなく、現段階では“工事のための工事”になりかねません。総事業費28億円のうち原発マネーは9割近くに相当します。受注業者には、原発の早期再稼働を求めている岸本英雄町長の親族が経営する岸本組が名を連ねています。

九電の本音

九電は12日に玄海原発3、4号機の再稼働を申請しました。原発再稼働のための世論工作「やらせメール」問題の反省もないまま、松尾新吾前会長の寄付をちらつかせた原発再稼働要求発言など、再稼働ありきの姿勢をむき出しにしています。

住民は“原発マネーの呪縛”からの解放を望んでいます。玄海町に住む元教員の新雅子さん(79)は語ります。「命より金もうけを優先するのが九電の本音。町は農業や漁業など自然を生かしたまちづくりを進めるべきです」

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