【しんぶん赤旗2014年4月29日「ニュース問答」より転載】
のぼる 国と東京電力が福島第1原発の汚染水対策で設置を計画している「凍土遮水壁」の安全性について、原子力規制委員会の検討会で疑問が出ているそうだね。
ふゆみ ええ。専門家や規制委から、凍土遮水壁を造ると「地盤沈下しないのか」とか、「高濃度汚染水が建屋から外に流出する恐れがないか」などの意見があったの。
規制委24の質問
のぼる 凍土遮水壁って、凍結管というパイプを約30メートルの深さの地中に埋め、マイナス30度の冷却材をパイプに通して周りの土壌を凍らせる仕組みだってね。
ふゆみ 建屋の周囲をぐるりと巡るように地盤を凍らせて、汚染水を増やす要因になっている建屋に流入する地下水を抑制しようってわけ。壁になる長さは1500メートルに及ぶというわね。6月には本格的な工事に入ろうとしているのよ。
のぼる さっきのような疑問は、とっくに検討済みでは?
ふゆみ ところが、計画を進めてきた資源エネルギー庁の担当者は「緻密な検討をしている」というだけ。規制委から「データや根拠を示してほしい」と指摘されていたし、福島県の担当者は「安全性の検討は抜けている」と言っていた。
のぼる そうなんだ。
ふゆみ 4月25日には、原子力規制庁が24項目の質問に回答するよう、東電
に要請したのよ。
のぼる どんな質問?
ふゆみ 地盤沈下が起きる可能性をどう評価したのかとか、凍土遮水壁を終わらせて解凍した場合、地盤の変化で不具合が起きないかと。
のぼる へーっ。
ふゆみ 凍土遮水壁に頼らなくても、流入する地下水を減らすことができるのではないかという質問もあったのよ。
学会も“見直せ”
のぼる 確か、学会も意見書を出したよね。
ふゆみ 日本陸水学会が昨年(2013年)9月、凍土遮水壁は「より大きな事故を引き起こす可能性が高い」と、他の工法を提案している。日本科学者会議は
2月、地下地質や地下水など詳細な実態把握を踏まえて、凍土工法の可否や他の工法を検討するよう提言している。
のぼる 政府はこれに320億円の国費投入を決めているよね。必要な情報はすべて国民の前に明らかにしてほしいね。