「原発なくせ、完全賠償をさせる福島県北の会」が7月31日、福島市で東電に行った集団請求書提出の場で、放射能汚染されたかやぶき屋根の古民家を守る福島県二本松市在住の農家、杉内鉄幸さん(65)がふき替え費用の賠償請求をしました。
杉内さんは自然を愛し、かやぶき屋根の古民家を守り続けています。東京電力が賠償を拒否しているため、原発事故で放射能汚染された家屋に住み続けることを余儀なくされています。
杉内さんは「内部被ばく検査をしたら野生のイノシシと同様の量だった。数年後、自分の命はどうなるのか」と東電に訴えました。
杉内さんの自宅は築140年以上。2005年から2年がかりで屋根をふき替えたばかり。原発事故後の11年8月に測定すると、屋根は1キログラム当たり12万9411ベクレル、放射線量は毎時10マイクロシーベルトという高さでした。
杉内さんは、翌年2月に東電に屋根のふき替え費用730万円などを直接請求。東電は2カ月後、同地が避難指示区域でなく、かやの賠償基準は決まっていないなどと賠償を拒否しました。賠償させる会の人たちは「杉内さんの健康が心配だ。東電は『相当因果関係』を認めて賠償すべきだ」と訴えました。
集団請求書提出の場で東電の福島復興本社福島補償相談センターの三角(みすみ)二郎副所長は「この件は協議中だ。健康問題は影響があることも含めてのべる立場にない」などと答えました。