東京電力福島第1原発は放射能汚染水が海に流出する非常事態です。しかし、政府として汚染水対策にあたる経済産業省資源エネルギー庁の汚染水処理対策委員会は4月に発足して以降3回しか会議を開いておらず、東電が先月、汚染した地下水が海に流れ出したことを認めた後も、会議を開く予定がなく、事実上の開店休業状態になっています。原発再稼働と輸出には前のめりの一方で、事態を打開するために本気で取り組もうとしない安倍政権の無責任ぶりが際立っています。
規制委・東電まかせ
委員会は4月に発覚した第1原発の地下貯水槽の汚染水漏れを受け、政府の廃炉対策推進会議(議長・茂木敏充経産相)の下に設置されました。
原子炉建屋などの地下に1日400トンの地下水が流れ込んで汚染水が増え続ける中で、東電の場当たり的対応が次々失敗することに国民の批判が集中。政府も何かやっていることを示そうとしたものです。
3回の会議を開いて5月に「地下水流入抑制のための対策」をまとめた後は、“休業”状態になっています。
第1回会議では、「汚染水処理問題を根本的に解決する方策や、今般の汚染水漏えい事故への対処を検討する」として、中長期の対応と短期の対応にあたるとしていました。しかし、5月に1~4号機の原子炉建屋周辺を土を凍らせた遮水壁で地下水の流入を防ぐとする「対策」を決めただけです。
福島第1原発では地下水が広い範囲で汚染され、海への流出も明らかになり、危機的状態になっているのに何の動きも示していません。
7月31日の原子力規制委員会でも、更田(ふけた)豊志委員は「緊急的な対応が必要なものには国としてのコミット(関与)が明確になっていない」と発言しています。
経済産業省の委員会事務局は、本紙の問い合わせに対し「次回の会議の予定は未定。凍土壁の有効性の調査を今年度中にまとめるので、調査の進捗(しんちょく)があった段階で開こうかなということ」と説明。汚染水への対応は原子力規制委員会と東電まかせの態度です。
2日の規制委の汚染水対策検討会でも出席したエネルギー庁の担当者は「東電と日々相談している」と述べるだけでした。