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違法廃棄物の撤去!漏水対策!など早急に行うよう県に申し入れ‥

恒久的な漏水対策が「現実的に対応することは困難」(県検討委)であれば、撤去しか対策はない

6月13日、樫曲廃棄物処分場問題で、「敦賀市民の会」は、不法投棄された廃棄物の(無害化による)全量撤去や処分場からの漏水対策など緊急施策について、栗田知事に申し入れました。

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処分場対策のため県が設置した「技術検討委員会」報告のは、処分場から汚水が漏れ出ていることを認めていますが、「(恒久的な漏水対策は)現実的に対応することは困難」などとしており、地下水汚染など心配する市民、撤去を求める地元樫曲住民から不安の声が強まっています。

 応対した大久保敏明・県環境審議監は、「処分する場所はないので撤去はできない。えん堤も安全だとしており、さらなる解析はしない」などと回答。私たちは、「河川や地下水への汚染はいまも進行している。県の緩慢な対策に市民は怒りを感じている」「処分場からの水漏れは廃掃法違反であり、県として恒久的対策をどうするか方針を示す必要があるのではないか。許可量の十三倍もの違法なゴミを持ち込んだ重大な犯罪行為を黙認していた県の責任は重大であり、市民に対して誠意ある態度をとるべきだ」と重ねて訴えました。


私たち提出の撤去を求めた「陳情書」が、市議会・環境保全対策委(6月25日開催)で継続審議(一部採択に反対)になりました。その経過を報じた新聞を紹介します。

違法搬入分の廃棄物撤去陳情書を継続審議に

敦賀市議会特別委 (毎日新聞2002.6.26)

敦賀市樫曲の廃棄物最終処分場の違法増設問題で、同市議会環境保全対策特別委員会(小川三郎委員長)は25日、違法搬入分の廃棄物撤去などを求める陳情書を多数決で継続審議とした。この問題では、樫曲区の住民が5月に、陳情書と同様の要請書を県に対して提出しているが、その際に住民と同行した市議が今回、「撤去は無理」として採択に反対した。

 陳情書は、敦賀市内の市民団体から今月7日、同市議会に提出された。違法搬入分を撤去する具体的計画を立案するよう県に対して、市が求めるよう要請している。県は「廃棄物の受け入れ先はなく、撤去は不可能」と説明している。

 同特別委員会は市議9人で構成。2人が「撤去が必要」として陳情書の採択を求めたが、他の市議からは「受け入れ先がない」「審議の時間が少ない」など継続審議を求める意見が上がった。

 樫曲区の住民と同行した男性市議は「要請書を出した際に県から説明を受け、撤去は不可能と分かった」などと陳情書を採択しないよう求めた。採択を求める市議からは「樫曲の住民にどう説明するのか」などと追及された。


6月13日、県へ申し入れた「申入書」全文を紹介します

2002年 6月13日

福井県敦賀市鉄輪町2-2-26
自然と環境を守る敦賀市民の会
会長 山田礼次郎

 福井県知事 栗田 幸雄 殿

樫曲の一般・産業廃棄物最終処分場について、違法搬入分の早期・全量撤去と漏水対策など緊急施策を実施するよう求める申入書

違法に持ち込まれた廃棄物を撤去するよう県に求める市民の会のメンバー (2002年6月13日/県庁にて)
違法に持ち込まれた廃棄物を撤去するよう県に求める市民の会のメンバー(2002年6月13日/県庁にて)

福井県が設置した「技術検討委員会」は3月27日、「ビスフェノールAが処分場外から高濃度で検出されたことや処分場内外の水質の類似性から、処分場から浸出液が漏出している」との見解を発表。遮水シートについては昨年11月、「処分場内の遮水シートが適正に敷かれていないか、シートが破れている」と発表。今回、そのためトレーサー調査などを実施しましたが、破損場所及び漏水量の特定には至りませんでした。

そして「応急的な措置」として、「浸出液の漏出を削減することに効果的な覆土」を行う」こと、また「中規模地震時に、えん堤が崩落するような危険性はない」、「大地震でも問題ない」(委員長談話)。さらに漏水を止める恒久対策については、「現実的に対応することは困難」であり「覆土の効果を見ながら検討する」との見解を明らかにしました。 違法に持ち込まれた廃棄物を撤去するよう県に求める市民の会のメンバー (2002年6月13日/県庁にて) しかしこれは、あくまでも暫定措置に言及しただけであって、恒久措置をどのように実施するのかの展望を示せていないのは大問題です。

河川や地下水への汚染はすでに進行しており、緊急に汚染の拡大を防止しなくてはならない現況を見れば、これまでの経過に見られたような、緩慢な対応はもはや許されません。よって、下記の事項を実現させ、住民の安全、暮らしを守ることを申し入れます。


  1. 現在の汚染の拡大が、認可量を遥かに超えた、廃棄物の違法な過剰搬入によるゴミ蓄積と関連していることに疑いの余地はありません。従って、根本的・長期的な対策を示さずに、単に応急措置しか示す事が出来なかった今回の「技術検討委員会」の見解に照らせば、抜本的な対策としては、違法搬入分の早期・全量撤去しかあり得ないことは明らかです。よって、漏水対策など応急対策と平行して、一刻も早く、そのための具体的計画の立案に踏み切ること。
  2. えん堤が現状で直ちに崩壊する状況には無いことは当然ですが、異常気象・地震に際しての堤体の挙動は当然、別途安定解析が必要です。その際、堤体の構築母材があらかじめ吟味して調製されたものではなく、砕石残土の処分を兼ねて、内盛式で便宜積み増しされたと見られることから、これを均質と見るモデルは採用できません。構築の歴史的経過を含めて、より厳密な解析をおこなうこと。
  3. 漏水対策について、「漏水量の把握については、今回の調査からは把握は困難であり、他に有効な調査方法も見当たらない」、「排水(揚水)は、覆土の効果を見ながら行う」といいます。これでは、覆土したあと漏水量が減ったのかどうか、当初の漏水量が分からなければ、効果の検証もできないことになります。  さらに、処理場排水の水量は、「一日あたりの平均処理水量は40~50?である」(以前より分かっていた)といいます。この処理量は、小流域の面積に比べて異様に少ないことが分かります。これらの事実は、えん堤下部からの無処理汚染水の湧出と、現象的に対応しています。したがって、この管理型処分場の浸出液処理システムには重大な欠陥があり、結果的に違法操業になることが十分推認できたのに、敢えてそれを放任した県の責任は重大です。よって次の対策を緊急に実施すること。
    1. 覆土は、応急措置として有害物質粒子の飛散防止には効果がありますが、長期間にわたる漏水抑止効果には疑問があります。特に、直上からの雨水には、地表排水路等の施設を併せて整備すれば、一定の浸透抑止効果がありますが、処分場周辺からの地表水の浸透防止や、基盤からの被圧水の湧出防止には無力です。よって、完全キャッピングするなど雨水の浸透抑止策を講じること。
    2. ボーリング孔を増やして、水位・水質の計測と、水温の精密計測を行うことにより、浸透水のより精密な流下状況が把握できます。現況に於いて、応急措置として汚染水の強制揚水、回収処理は不可欠であり、「経過を見ながら」ではなく緊急に具体化を図ること。  また、浸透水の流下状況と地下水涵養の総量の把握および、揚水作業と併用し、基本的には河岸沿いに連続遮水壁を構築すること。
  4. 地元樫曲地区住民からも不安の声があがり、県に対し「廃棄物の撤去を求める要請書」も出ているといいます。市民の側からの不安や疑問などに答えるため、県および「検討委員会」は、全市民を対象とした住民説明会を開催すること。「技術検討委員会」の調査の原資料と、委員会の議事録を住民に公開すること。
  5. 県と市民団体との木の芽川合同調査について、昨年実施(河川水増水により参考値とした)したとき約束したとおり、実施すること

以上

 

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